燃え上がる車に、暴風の中を飛び交う屋根。きょう、ニュースやツイッターのタイムラインで目にした光景です。過去最大クラスの台風21号の上陸により、各地で被害が生じています。近畿地方では死者も出ているとのことです。
関西国際空港では滑走路やターミナル棟の一部が浸水し、陸地とつなぐ連絡橋が通行止めになったことから利用客ら3000人以上が孤立しています。停電で空調が効かなくなっているという情報もあり、職員も含めて取り残されている人々への心配が募ります。
このような災害時に置いてけぼりになりがちなのが外国人です。まずはスマホで情報を集めると思いますが、やみくもに調べていても「今、目の前で何が起きているのか。これからどうなるのか」というピンポイントの情報はなかなか見つからないこともあります。
東日本大震災以降、災害時に外国人、特に土地に不慣れな旅行者をどう守るかという課題が浮き彫りになってきました。自治体や民間団体はホームページを通じて多言語で情報発信したり電話相談窓口を設けたりしているほか、主要な駅には観光客向け案内窓口も置かれています。ただそこに割かれる人員は限られていますし、そもそもそれらのサポートにたどり着けない人も少なからずいるようです。
7月に旅行でインドに行った時には幸い事故や災害には遭いませんでしたが、何かあった際にその地域の自治体サイトを確認することは思いつかなかったでしょう。
こんな時に役に立ちそうなのが災害情報に特化したサイトやアプリです。日本ではたとえば観光庁提供の「Safety tips」というアプリがあるほか、外国から直接持ち込んだスマホでも地震や気象の警報が受け取れるようにしたり、災害用に使いやすくした翻訳アプリが開発されたりしているようです。短所といえば、事前にインストールしておかなければ使えない、ということでしょうか。
今日の朝日新聞では、今年の西日本豪雨のときに避難所に入れなかったという日系ブラジル人2世の夫とその妻の話が載っています。「外国語で会話やお祈りをしたら、日本人に迷惑をかけてしまうと思った」といいます。そんなことないよ、と言いたいところですが、言葉が通じないと相手の表情や態度を読みがちです。私は英語にあまり自信がないので、外国人相手だと遠慮がちになってしまう気持ちもよくわかります。
困っている人を見つけたら、「今こんなことが起きているよ」「こうしたらいいよ」と詳しく説明することはできなくても、せめて上で紹介したようなサービスに誘導できるようにしたいものです。
参考記事:4日付 朝日新聞朝刊(東京14版)1面・3面(総合)「日本人との壁 避難所遠ざけた 平成とは 第3部 うつろう空気②」、31面(社会)「台風 きょう西日本上陸 暴風・大雨『非常に強い勢力』」
・同日23:01配信 共同通信「ツイッターで救助要請 関空、閉じ込めに不満訴えも」
・NHK解説アーカイブス「災害時、外国人は」