約130年ぶりに改定 正確な単位とは?

身の回りには、いろいろな単位が存在しています。キログラム、メートル、アンペア、モル・・・。挙げだしたらキリがありません。長さに関して言うと、メートル以外にもフィート、ヤード、インチなど、さまざまな呼び方があります。そして、科学技術の発展により、これまでの単位について精度を上げて、定めなおすことが可能になっています。

今年11月、重さの単位である「キログラム」の定義が、約130年ぶりに改定されるかもしれません。

そもそもキログラムはどうやって作られたのでしょうか。むかしの人は、身近なものを基準として測ってきました。そして、多様化した質量単位を統一させるため、1875年に結ばれたメートル条約で定められました。1キログラムと定めた「国際キログラム原器」と呼ばれる分銅が、世界の基準として存在しています。多くの複製が各国に保管されていて、本物はフランス・パリ郊外にある世界度量衡局の一室にあります。

統一された単位を作る動きは、18世紀末のヨーロッパで始まり、1791年にはフランス政府が新たな単位を採用しました。当時、重さは水1リットルの質量を1キログラムとしました。また、長さも定義され、地球の北極と赤道を結ぶ子午線の1000万分の1を、1メートルとしました。そして、1867年に開催されたパリ万博で、メートル法が注目され、75年に国際条約が締結されました。

このメートル法は何度も見直され、1989年にキログラム原器そのものを改めるきっかけが起こりました。原器と複製を比較してみたところ、指紋1個分をつけたときの重さに相当する100万分の50グラムのズレが生じました。ささいなようですが物理実験なら、この差が結果を左右しかねません。

そして、新たな候補として注目されたのは、「プランク定数」という公式です。この定数は電子の重さに関係していて、正確な値が出れば、1キログラムを計算することが出来ます。

今まで学習してきた単位は、実は曖昧なものだったのでしょうか。毎日乗る体重計も正確な値ではないと思うと、気が楽になります。文字からして、「単なる位」だと認識する方が良いかもしれません。

 

参考記事:

3日付 朝日新聞朝刊 10版27面「キログラムの定義 一新」