戦後70年を学び、戦後70年から学ぶ

ゴーストライター、STAP細胞、号泣県議に総選挙…。色々なことがあった2014年が終わり、2015年がスタートしました。戦後70年の節目を迎え、各紙は新年早々、特集を組んでいます。

朝日新聞は日系アメリカ人に焦点を当て、彼らが送った70年を振り返っています。

「国も家族も困っているから、手伝わないと」

元ハワイ州知事のジョージ・アリヨシ(88)。彼がアメリカ軍人として戦後の東京に駐留した際、初めて言葉を交わした7歳の少年が言ったそうです。路上で靴磨きをする少年を見かねて、アリヨシさんはサンドイッチを渡します。すると少年はサンドイッチを道具箱へしまい、アリヨシさんに言います。

「マリコに持っていく。三つの妹が腹をすかせて家で待っているんです」

元アメリカ国務長官ヘンリー・キッシンジャーへのインタビュー記事を載せた読売新聞。米中国交正常化の立役者である彼は、日本も「国際秩序とは何なのか」を真剣に考えるべきだと主張し、その理由をこう語ります。

「なぜなら、秩序が崩れて紛争が起きた場合、現代で使われる兵器は極めて破壊的だからだ。そのことを、どの国よりも熟知しているのが日本だ」

日本経済新聞は、戦後スポーツの軌跡をたどっています。テレビの普及により、スポーツをお茶の間で楽しめるようになりました。とりわけ一般家庭に普及するきっかけとなったのが、1964年の東京オリンピック。「東洋の魔女」と呼ばれた女子バレーボール日本代表が金メダルを決めた決勝戦では、視聴率66.8%を記録しました。杉本厚夫関西大教授は指摘します。

「それまで『する』ものだったスポーツに『見る』という新たな楽しみ方を定着させた」

20代の私は、戦後70年で得たものよりも、失ったものの方が多いのではと感じます。7歳の少年のような心や現代の兵器の恐ろしさ。どれほどの日本人が忘れずにいるでしょうか。2015年は、これらの忘れ物を取り戻すことのできる節目の年です。戦後70年を学び、戦後70年から学びたいと思います。

 

【参考記事】

3日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)1面「心に日本 私は米国人」

同日付 読売新聞朝刊(同版)1面「日本の役割 熟慮の時」

同日付 日本経済新聞朝刊(同版)社会面「熱闘TV中継 夢と絆」