検証と教訓を 西日本豪雨

 

平成最悪の豪雨が西日本を襲ってから1週間が経ちました。13日現在で死者は200人を超えています。
被害の全容はまだ分かっていません。

中国・四国地方を中心に鉄道や高速道路が寸断されています。物流が滞り、物資が不足しています。
被災地は既に梅雨が明け、真夏日が続いています。加えて断水で水不足も深刻です。

それでもどうか諦めないでください。

全国から救援が来ています。被災地を見つめています。
避難生活は助け合いの日々です。周りと手を取り合って、生きてください。
一人一人が生きていくことが復興の第一歩です。
無理はせず、一日一日を過ごしてください。

一方、被災地の外にいる私たちにもできることがたくさんあります。
支援はもちろんですが、二度と同じ被害を繰り返さないため、西日本豪雨から教訓を得ることも重要です。
数々の風水害を経験した日本で、なぜ200人を超える犠牲者が出てしまったのか。
課題をあぶり出し、検証する必要があります。

風水害の被害を防ぐ上で有効とされているのが「タイムライン(防災行動計画)」です。
大規模水害の発生予想時刻から逆算し、自治体や関係者が事前に取るべき防災行動を「いつ」「誰が」「どのように」「何をするか」を時系列で整理したものです。
2015年、国土交通省が河川の氾濫・浸水の恐れがある730市区町村を指定し、翌年7月までに570市区町村でタイムラインを策定しました。20年までタイムライン作りは続きます。


▲倉敷市の災害タイムライン(倉敷市HPより)

では、今回の豪雨で生かされたのでしょうか。
例えば、岡山県倉敷市では災害別にタイムラインを策定していましたが、今回の豪雨で50人以上の死者が出ています。
適切な避難誘導がされたのか、検証する必要があります。

また、ハザードマップは有効だったのかも、調べなくてはなりません。
東日本大震災では、想定を上回る津波が押し寄せ、地図上で「安全」とされていた地域で多数の犠牲者が出ました。
西日本豪雨による浸水域は想定内だったのでしょうか。

もしかすると、想定していた浸水域よりも広い範囲で被害が出ていたかもしれません。
全容が明らかになっていない今、速断は禁物です。とはいえ、ここ数十年で最悪の犠牲者数が出ていることは厳然たる事実です。

自然が豊かな日本で暮らしている以上、自然の脅威から逃れることはほぼ困難です。
それでも備えの意識を持てば命は守れるはず。
同じ誤りを繰り返さないよう、被害の検証から教訓を得ていく必要があります。

参考記事:
13日付朝日新聞朝刊(東京13版)1面「西日本豪雨死者200人に」
関連記事同2面、4面、8面、14面、35面
同日付読売新聞朝刊(東京13版)1面「15府県避難なお7085人」
関連記事同2面、3面、4面、13面、30面、31面、34面、35面
同日付日本経済新聞朝刊(東京13版)2面「西日本豪雨死者200人」
関連記事同39面

参考資料
倉敷市HP( http://www.city.kurashiki.okayama.jp/29909.htm )
国土交通省水管理・国土保全局HP( http://www.mlit.go.jp/river/bousai/timeline/ )

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