「血統」は国に必要か

トルコのエルドアン大統領が知人の結婚式に招待され、スピーチを任されました。そのスピーチの中で大統領は、結婚する二人が子宝に恵まれることを願うという趣旨の発言をしましたが、ある主張によってお祝いの言葉も台無しになってしまいました。

 

・「(大統領に)対抗する勢力は、長年にわたって避妊という国家反逆罪を犯し、血統を絶えさせようとしている」

・「血統は経済的にも精神的にも非常に重要」

 

大統領はスピーチの中でこのような趣旨の主張をした、と報じられています。

 

この記事を読み私が疑問に思ったのは、なぜ大統領は避妊が大統領や国家に対抗するために行われていると考えたのかということです。個々人の選択によって「避妊」が行われてきたのであって、人口を増やし国力の増大を図るという目的のために、国家の意思に従う必要はないはずです。大統領は自分自身の立場や国という視点でものごとを捉える必要がありますが、国民ひとりひとりの生活をイメージすることも大切なことではないでしょうか。

 

女性が生涯に産む子供の数を示す「合計特殊出生率」が日本ではトルコと比べ物にならないほど深刻であり、もはや人口を維持するためにどうしたら出生率が上がるかだけではなく移民をどのように受け入れるかという議論がされています。「血統」に縛られず日本の文化、経済を守っていく施策こそ必要ではないかと思います。 

【参考記事】

12月24日 朝日新聞朝刊 国際面「避妊は国家反逆罪」