心に残った川柳が今朝の新聞にありました。
遺影には少し派手だがまあいいか
読売新聞に掲載された優秀作のうちの一つです。最後の「まあいいか」が気に入っています。今を受け入れ、前を向くことができます。葬儀の緊張をほぐす言葉です。
昨年の10月に祖母が亡くなりました。我が家でも、振り返るとたしかにそうでした。祖母のアルバムなのに孫の写真ばかり貼ってあります。声が大きく、おしゃべり好きなおばあちゃんでした。数枚しかないものの中から、一番の笑顔を選びました。
他にも気持ちを落ち着かせることができる出来事がありました。通夜で和尚さんがお経を唱えると、ひ孫の赤ちゃんが妙に気に入ったようでした。「あーあー」と喃語がほとんどですが少しは単語を発することもできます。「だいじょぶ、だいじょぶ(大丈夫、大丈夫)」と木魚に合わせて言っていました。意味を理解しているのかよくわかりませんが、とても和みました。これには、祖父もにっこりしていました。
遺影を選ぶ。お通夜をする。告別式をする。失敗しないように張り詰めて過ごしました。葬儀そのものは慌ただしく、やらなくてはいけないことが多いです。ですが、その一つ一つの過程がゆっくりと死を受け入れる気持ちにさせてくれました。
先週の金曜日に祖父の家に帰省しました。90歳になった祖父は縁側で日向ぼっこをしていました。やっと雪が溶けきった庭で、チューリップの花芽や黄色の小さな福寿草が咲いているのを見つめています。お彼岸を迎え気持ちも落ち着いたようで、よく1歳になったひ孫と遊んでいます。
4月から社会人で不安そうな私に「大丈夫だよ。すぐ慣れるよ」と言ってくれました。「まあいいか」、「大丈夫」。この言葉は思っている以上に効果があるかもしれません。肩の力を抜くことも大切だと学びました。
祖母の大好きな曲は「案山子(かかし)」でした。さだまさしさんが作詞作曲しました。「染め抜いた雪が消えれば お前がここを出てから 初めての春」とあります。歌詞がぴったり合う季節になりました。長野県にいる祖父のもとにも暖かな桜の便りが届きますように。
(筆者撮影、ボランティア先の子どもたちとお花見をしました)
参考記事:
27日付 読売新聞朝刊(東京14版)23面「よみうり元気印熟年川柳」
私事ですが、今日の投稿をもって「あらたにす」での活動を卒業させていただきます。3年間、編集部として投稿を続けてきました。102本の投稿文を書かせてもらいました。新聞を毎日読み、充実した学生生活を送ることができました。ここまで続けてこられたのは、学生スタッフ、事務局の皆様、そして読者の方のおかげです。これからも「あらたにす」を温かく見守ってくださると嬉しいです。本当にありがとうございました。