キング牧師は何を思う─ファーガソン黒人暴動

人種差別撤廃に非暴力の姿勢を貫き、60年代の公民権運動の立役者となったキング牧師。キング牧師がノーベル平和賞を受賞して半世紀、彼は今回の暴動をどう見ているのでしょうか。

アメリカ中西部に位置するミズーリ州・ファーガソン。18歳の黒人少年が今年8月、白人警官によって射殺される事件が起きました。これを受け警官を起訴するかどうかを決める郡の大陪審は24日、警官の不起訴を決定しました。黒人住民らは決定に反発し、市内では略奪や投石など暴動が発生しました。

黒人住民が反発する理由は2つ。

①大陪審の構成が白人9名に対して黒人が3名であったこと

②黒人少年は警官に抵抗することなく、武器なども所持していなかった

公権力による人種差別を認める判断に、黒人住民は怒りを爆発させます。「警官の正当防衛は成立しないにも関わらず、裁判さえ開かれないのはおかしい」という理屈です。

自由と民主主義の下、経済成長を遂げてきたアメリカ。今回の暴動はその一方で置き去りにされたアメリカの影を映したともいえます。人種差別は依然として残り、キング牧師の労苦が忘れ去られようとしています。暴力の応酬によって解決するのではなく、別の方法を模索する。それが人種のサラダボウル・アメリカの責務なはずです。

 

【参考記事】

26日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)1面「白人警官不起訴 全米各地、抗議デモ」国際面「黒人らデモ『正義を』叫ぶ」

同日付 読売新聞朝刊(大阪14版)1面「米暴動拡大、61人逮捕」国際面「『人種差別』怒りの暴動」