次世代ロシア 力には力を

ロシアのプーチン大統領は、1日、年次教書演説を行いました。インフラの整備や貧困層の減少、医療サービスの充実、さらに平均寿命を日本やフランスの水準にまで改善させると述べました。しかし、一番注目を集めたのは新型の核兵器を発表した場面です。

通常戦力で、NATOに対し大きなハンデを負っているロシア。軍事革命の概念を最初に唱えた国でありながら、大きく出遅れています。08年の南オセチア紛争では、イスラエル製の無人機や米国の戦場情報システムを使用するグルジア(ジョージア)軍に苦しめられていました。そうした経験から通信やネットワークにおける分野の近代化を進めています。しかし、予算や産業システムの問題から思うようにはなっていません。そんなロシアが一番頼りにしているのは、やはり「核戦力」でしょう。

今回の演説の多くは、国民に発展を誇示するためのものです。当然、米国や周辺国に対してのアピールという性格もありますが、核使用のハードルを下げるものでもないでしょう。しかし、それに対する諸外国の反応は重要です。英語の軍事俗語に”Sabre rattling”というものがあります。サーベルをガチャガチャと鳴らすことを意味しますが、自分がもっている武器を相手に意識させる心理戦の一種です。

そうしたロシアの戦略は、トランプ氏のようなtwitter外交とあまり相性が良くないと思います。米国が過剰反応することで余計な支出を増やすことは得策ではないからです。マイケル・マレン元統合参謀本部議長が「米軍の危機は財政難だ」と発言しているように、米国の国防予算は今後大幅な縮小が予想されます。現在の予算は、10年以上続くアフガニスタン戦争の戦費など、内部の改革よりも維持コストに優先して使われています。

そうした中、過剰反応すれば相手の策にはまるでしょう。

今後とも冷静な対応をお願いしたいものです。

参考記事:
3日付 朝日新聞朝刊(12版)2面(オピニオン)「プーチン演説 無責任な軍楽だ」