「地産地消」。この言葉から何を連想されますか。私は、地元産の食材を使った献立、たとえば小学校時代の土地の野菜をふんだんに使った給食を連想します。実際、皆さんも農業に根付いたものを想像されるのではないでしょうか。それだけに「棺」が地産地消に繋がるとは思いつきもしません。
今日の朝日新聞のコラム「天声人語」には地元の木材を使った棺についての話題がありました。現在使用されている木棺の多くが中国産であり、そこに一石を投じようと、伐採期を迎えた椹(さわら)の木で作った棺を作る試みが埼玉県秩父地方で始まっているそうです。このような取り組みは、生まれてすぐに木に触れてもらう「ウッドスタート」に対して「ウッドエンド」と命名されました。自分の故郷で育った木に囲まれながら人生の「最期」を迎えることができるだけでなく、「地産地消」という形で恩返しをすることもできる。旅立つ人にとっても、きっと嬉しいものになるでしょう。
林業従事者の高齢化が進み、手が入っていない森林が全国に広がる。そうした森林で土砂災害が起こりやすくなる。今、日本の林業は多くの問題を抱えています。半世紀以上も前に植えられた樹木が伐採期を迎えたにも関わらず、放置されているという話も耳にします。今回の例のような地産地消活動が全国に広がり、こうした問題が少しでも解決すればいいなと思います。
参考記事
28日付朝日新聞朝刊(京都14版)1面 天声人語