民泊の世界最大手、Airbnb(エアビーアンドビー)。宿泊したい人、イベントなどで場所を借りたい人が検索し、部屋を貸したい人とのマッチングをはかるサイトです。先日、初めて都内で友人とエアビーを利用しました。大きな利点は、やはり利用価格の安さです。10人で宿泊し、一人2500円ほどでした。利用した部屋にはキッチンが併設され、歯ブラシやタオルなどのアニメティも常備されています。家にいるような感覚でくつろぎながら過ごせました。和室のお部屋や持ち主と交流して日本文化を楽しめる宿もあり、人数や用途、設定金額に合わせて数多くの選択肢から選べるのが魅力です。
観光庁は、今年7〜9月に日本に訪れた外国人旅行者のうち、宿泊先として有料で民間住宅に泊まる民泊を選んだ人の割合(複数回答可)が12.4%だったと発表しました。1位のホテル(75.1%)、2位の旅館(18.2%)に次ぐ高い数字です。政府は、増加傾向にある訪日観光客を見込んで、この調査結果を今後の観光政策に活用する考えです。
民泊のルールを定めた「住宅宿泊事業法(民泊法)」も来年6月15日に施行されます。これにより東京都大田区などの特区に限られていた民泊が、都道府県への届け出のみで全国的に解禁される予定です。
そんな中、いち早く民泊事業に取り組み始めたのが、楽天です。自社名を冠し民泊用ブランド「Rakuten STAY」を新設し、フランチャイズ契約を始めると発表しました。部屋の所有者が自費で楽天が監修した内装に改装する、清掃やチェックイン手続きを楽天が代行するなど、ホテルのような一定の品質をアピール。すでに国内で実績を積むエアビーとの差別化を図ります。
モノやサービスを共有することで問題を解決する民泊は、画期的なアイデアだと思います。人と人のつながりを生み出せるうえ、日本独自の文化や企業の強みを前面に出し、さらに創意工夫を加える動きも興味深いです。
一方で「利用者と周りの人が安心して過ごせる」制度作りも大切にしてほしいものです。実際に利用して、また利用してみたいとは感じたものの、ネット上でしか情報を得られないという信頼度の低さや衛生面が気になりました。さらに、もし近隣住民が部屋を貸し出し始めたらと想像すると、騒音やトラブルも心配です。地域によって、需要や観光業における伝統、考え方の差もあるでしょう。民泊は自分が住むまちや身近な生活に関わる問題であるという意識をもって、活発な話し合いやルール作りが進められるべきだと思います。
参考記事 30日付 日本経済新聞 13版 「楽天、「民泊」丸抱え、先行エアビー追い上げ」
同日付 朝日新聞朝刊 13版 8面「楽天ブランド 民泊用に提供へ」
16日付 読売新聞朝刊 13版 8面「訪日客12%が民泊」