再来年10月に引き上げが予定される消費税の使い道を見直し、子育て世代、子どもたちに大胆に投資していく。
安倍首相は所信演説表明で、人づくり改革として、子育て世代への支援を強調しました。社会全体で子ども育てる視点は、大切にすべきです。今日は、今回の政策が子供たちの教育の機会を広げることにつながるのかを考えます。
まず注目するのは、政策の目玉である幼児教育の無償化です。私は、この政策が本当に必要なのか疑問を抱いています。これまでも生活保護世帯では無償化が進んでいます。保育料は所得が多いほど高額になっています。結局のところ、恩恵を受けるのは高所得世帯になるでしょう。さらなるゆとりが生まれ、塾や習い事に充てる支出が増えることで、格差はより広がってしまいます。
自民党は、衆院選の公約として3~5歳児全員の教育無償化をうたっていましたが、昨日、支給する助成金に上限を設けるなどの方針を固めました。公約違反という批判や、親世代からの反発もありますが、所得制限などの条件を設けるべきです。
次に見ていきたいのは、大学など高等教育の無償化です。政府は、住民税の非課税世帯やそれに準ずる世帯に配慮した援助を推し進めます。効果的な政策だと思う一方で、他にも講じるべき策があると感じます。
貧困を抱える子どもたちの学習支援の現場では、大学に進める子はほぼいませんでした。子どもたちが抱える困難は様々ですが、毎日の生活に手一杯で将来を考えるほどの心の余裕がない、また大学を目指せるほどの学力がついていない、といった問題がありました。家庭環境の違いにより、大学受験以前の時点で差がついてしまうのです。家計が苦しい小・中学生の学習をサポートする居場所作りや、シングルマザーに正社員採用の機会を提供する支援なども、国が推進してほしいと思います。
限りある資源を管理し、配分するのが政治です。少子高齢化を見据えて、安心して子どもを育てられる環境を整えることは大切でしょう。一方で、経済の拡大のなかで取り残される人がいないか、という点にも目を配るべきだと考えます。
参考記事:18日付 朝日新聞朝刊 東京13版 7面「安倍首相の所信表明演説(全文)」
6面「教育無償化に上限設定 衆院選公約と矛盾 自民提言案」