他の3横綱が休場した大相撲秋場所で逆転優勝を果たした横綱・日馬富士。はるまふじ、と読みます。小柄ではありますが、はるかに巨漢の力士に立ち向かう姿に感銘を受けていました。だからこそ、今回の暴行問題は残念でなりません。
トラブルの細かい部分では分からないところも多いのですが、日本相撲協会によると、先月26日に行われた鳥取巡業の前夜に起きました。宴席で、それも複数の力士がいる場で、酒に酔った日馬富士が平幕の貴ノ岩に暴行を加え、頭の骨を折るなどのけがをさせたというのです。貴ノ岩の師匠である貴乃花親方は警察に被害届を提出し受理されたことも明らかになりました。事件発覚までに時間がかかったことやどうして休場の理由になる診断書の提出が3日も遅れたのか。不思議な点も多く、真相が気になります。
角界は、過去にも暴力事件など不祥事がありました。どれも繰り返してはならないものです。2007年には時津風部屋で、序ノ口力士が親方や兄弟子らに暴行されて死亡しました。10年には横綱・朝青龍が知人への暴行疑惑で引退に追い込まれています。八百長疑惑や野球賭博問題もあり信用を失っていましたが、改革に打ち込むことで人気はようやく盛り返してきました。そのさなかに飛び込んできたニュースに驚きは隠せません。
協会は、今後さらなる聞き取り調査を行い、処分などを決める方針です。どんな経緯があったにせよ、彼が悪いです。然るべき処分を受けてほしいです。
良い見本、良い背中を見せてあげたい。僕も昔そうだった。受け継いだものを次の時代に教えていくのが相撲道ですから
先場所で優勝したあとに行われた記者会見で若手について語っていました。
日馬富士関、この言葉に嘘はないですか?関取人生はこれで終わりでいいのですか?あなたのその筋肉質の背中から、体格は関係なく真剣勝負で取組に挑むことへの決意が伝わっていました。ですが、今どうしてもあなたを信じることができません。一つの軽率な行いで積み上げてきた全てが崩れ去ろうとしているのです。
綱を張る力士としての誇りはなかったのか。角界に水を差す行為をして恥ずかしくはないのか。我が身を振り返り猛省すべきです。しっかり問題に向き合い、相撲道を見せてください。ファンは待っています。
参考記事:
15日付 朝日新聞(東京14版)1面「日馬富士の暴行 相撲協会が調査」、関連記事16面、38面
同日付 日本経済新聞(東京14版)45面「番付社会の「負」再び 日馬 暴行問題 角界に潜む暴力の芽 」、関連記事47面
同日付 読売新聞(東京14版)1面「日馬富士の暴行、被害届 貴ノ岩側、鳥取県警に」、関連記事16面、36面