人生最後の日に味わいたいものは?

 カナダに留学中、シェアハウスで生活していた私は自分で食事を用意していました。実家暮らしだった日本では朝晩に味噌汁を飲んでおり、カナダ滞在中はインスタント味噌汁で代用していました。でも物足りず、母の手作りの味噌汁が恋しくて、恋しくてたまりませんでした。

 最後に食べたい味を思い浮かべるとき、多くの人が母の味や普段の食卓に並ぶ惣菜など、慣れ親しんだ食事を挙げるようです。本日の朝日新聞の記事では、回答の多かったものとして「白米」「すし」「おにぎり」「味噌汁」「そば」「ステーキ」が取り上げられていました。普段から食べるもの、好むものが多いですね。他にも、「赤飯」「ウナギのかば焼き」「母親が作ったカレー」「美味しい水」「駄菓子」「家族団欒での食事」など。それぞれの食品に対して添えられた理由の多くは、家族との思い出や遠い記憶を懐かしむエピソードでした。 

 食事を取らなければ生きていけません。一方で日々の生活を豊かにする一面もあります。私は食べることが大好きで毎食を楽しみに過ごしているのですが、友人の中には「食事の時間だから」「食べないと体に悪いから」食事をとる人もおり、その食に対する考えの違いに驚いたことがあります。これはしばしばされる議論ですが、生きるために食べるのか。はたまた、食べるために生きるのか。

 好きな人とともに食事を楽しんだ温かい記憶は、やはり人生に彩りを与えてくれます。どうせ必要がある食事なら、楽しんでいただきたいですね。そして次にその食べ物を味わう時、幸せな思い出が蘇ってきてまたその食事が楽しくなります。

 

 あなたが最後に味わいたいものは何ですか。

 

参考記事:

8日付 朝日新聞朝刊(東京13版)31面「最後の食事 わたしなら」