「自民党小池派」誕生の見通しは杞憂か

安倍首相の解散表明に始まり、小池都知事の希望の党代表就任や民進党の事実上の解党など、昨日までの局面が今日は一変という状況が続いています。

そんな中、希望の党が近く発表する選挙公約の原案が明らかになりました。2019年10月に予定されている消費増税に「反対する」とし、原発ゼロのために憲法改正の論議を進めることなどを明記しています。

一読すると、安倍政権の政策方針と相反する政策が含まれていることは確かです。希望の党は自民党との差別化を図るつもりなのでしょう。しかし、注意深く観察すると、決して安倍政権の真逆を向いているわけではないようにも見えます。

まずは両党の共通点。自衛隊の憲法への明記は典型的な共通政策です。安倍政権は最長でも残り4年で任期が満了します。あまり時間的余裕がない中で希望の党は「援軍」になる可能性があります。一方で消費増税について。希望の党は消費増税の一時凍結を打ち出し、安倍首相は増収分を教育の無償化に充当する方針です。一見、二つの方針は矛盾するようですが、注意しなければならないのは、安倍首相はこれまでに消費増税を2度延期しているという事実です。

過去には「リーマンショック級の経済状況の悪化がない限り増税する」と発言しながらも延期しています。このため、確実にアベノミクスの足かせになる消費増税は再々延期するのではないか、という声は依然として残っています。また、希望の党の公約原案にある「不要不急のインフラへの支出中止」も気になります。現状の人手不足を鑑みると公共事業の増加は難しく、今後大きく増えることはないため、実質的に一致しているようにも見えます。

また、「一院制実現に道筋」という公約も、例えば参議院を廃止する場合、「良識の府」に所属する議員は党派を問わず当然ながら猛反発するでしょうから、実現は極めて難しいはずです。

仔細に分析してみると、自民、希望の公約の差異は「原発ゼロか推進か」や「議員定数の削減」など少数の論点に留まる可能性があります。衆院選で希望の党が一定数の議席を得るのは間違いないでしょうが、どんな結果でも「自民党小池派」のような、つまり安倍政権に批判的な石破元防衛相のような立場の政党が生まれる、というのが私の見立てです。その場合、本当に政策論争が深まるのか疑問です。

参考記事:

5日付 読売新聞14版朝刊 1面 「希望 原発ゼロ「憲法に」」