ここ数年、金塊の密輸に関するニュースが度々メディアの中で取り上げられています。そんな中、今朝の読売新聞では金塊密輸の仕組みが解説されていました。
日本で金塊を売却しようと思ったとき、金塊の値段とその消費税が加えられた金額で売ることができます。よって購入時税金がかからない国で購入し日本に持ち込めば、消費税分の利益を得ることができます。しかし、普通に輸入すると税関で消費税分の金額を支払う必要があるので、利益分を残すために密輸を行うようです。
読売新聞の取引関係者への取材によれば、運び役は韓国国内の空港で仲介役と落ち合い、出国を終える。その後、出国エリア内で金塊を差し込んだベルトが入った袋を渡されトイレでそれを着用し、そのまま日本へ入国するといった手口が取られています。また運び役は短期アルバイト募集といった形で勧誘されていたりするようです。
「ノンフィクションナックルズ」の創刊者でもある久田将義氏によれば、こうした密輸方法は消費税の増税後からトレンドとなったそうです。しかし日本国内に持ち込むことは手間がかかるためすでに密輸された金塊を狙って強盗する事件も増えているようです。昨年7月、博多で起きた7憶5千万円相当の強奪事件などがそういった事例にあたると述べています。
こうした国境を越えた違法取引は近年出てきた問題ではないですが、グローバル化がそれに拍車をかけているのは事実でしょう。それにどう反応するかが今後重要になってくると思います。
金塊だけでなく麻薬や兵器、人身売買といったことを日本国内でどう防ぐかということだけにフォーカスを当てて対処していくならば、多少予算はかかったとしても税関や領海内の警戒強化をする水際戦略で足りるかもしれません。
しかし、それでは根本的な問題解決ではなく、ただ単に消火作業を速めているだけです。それに、上記に挙げた中で特に麻薬の密輸や人身売買は被害者がはっきりしていることが多く、未然に防ぐ努力を惜しむというのは私たちの人権の尊重という理念にも反するでしょう。だからこそ、包括的に改善する努力を必要とされます。
ただ、現状の日本でそれらの改善策を考えるには、余りにも議論の制限が多いと思います。というのも特定の事項に対して「ダメ絶対」といったゼロ百思考の制限が掛かってしまっているからです。その点を少しでも改善することがこれからの第一歩になるのではないでしょうか。
参考記事:
7日付 読売新聞朝刊(東京14版) 30面(社会)「金塊密輸 運び屋厳選」