これでいいの? 日本の大学

 英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」は5日、今年の世界大学ランキングを発表しました。世界77カ国・地域の上位1千位まで、研究成果の影響力や教育環境などを調査し、評価した結果を基にランク付けされています。

 気になるのは順位です。東京大が46位、京都大が74位となりました。日本は上位200位に2校しか入っていません。日本の大学で最も順位が高い東京大でさえ、昨年の39位から後退して過去最低の水準です。

 どうして日本の大学が伸び悩んでいるのでしょうか。ランキングでは、論文の引用頻度が重要な指標とされています。英語で書かれた論文を提出することが少なく、海外で引用される機会を失っていることが影響していると思います。

 ランキングを作成した専門誌では、東大の落ち込みは資金不足に加え、中国などの大学が急速に順位を上げていることが主な原因と分析していました。たしかに、中国、香港、シンガポールの一流大学は、継続的な研究資金が潤沢なこともあり、評価を上げてきています。

 とはいえ、どんなに研究する環境が整ったとしても英語で書かれた論文として残さなければ表舞台に出られません。これは中国なども同じことです。香港の友人は、香港の大学院で化学の研究員をしています。今の研究がひと段落したら、アメリカの大学院で働きたいと言っています。彼の恋人は日本人なので、「一緒に日本で研究したらどう?」と提案してみました。ところが、「日本の大学や大学院では、英語で論文を書こうとしない。参考にしたい論文が日本語で勉強が大変。そもそも教授も英語が上手ではない」。きっぱりと否定されてしまいました。
 
 私は卒業論文を作成している最中ですが、英語で書く自信はありません。このような姿勢が日本の大学が今ひとつ成果を出すことができないことと通じているかもしれません。まずは、英語で研究する環境をつくる。打つ手を考えないと、ますます日本の大学は埋没していくでしょう。
 
 
参考記事:
6日付 日本経済新聞(東京14版)34面(社会)「英誌の世界大学ランク 東大、最低の46位 資金不足など 」
同日付 朝日新聞(東京13版)5面(総合)「東大46位、京大74位 英誌の世界大学ランク」