72回目の終戦記念日 私たちにできること

「平和」とは何でしょうか。

私は何気ない日常であると思います。公園で遊ぶ子ども達の声、夕方の街に漂う炊事のにおい、家から漏れるあたたかい光・・・今では当たり前のことの一つ一つがかけがえのない平和であると思います。

空襲におびえ、食料制限の中で貧しい食事に耐える、我慢ばかりの生活が「日常」になる。時には目の前で大勢の人が、大切な人が亡くなるのを目にし、自らも死と隣り合わせの状況に置かれる。現在の当たり前のことをすべて奪っていくもの、それが戦争だと思います。

15日は終戦記念日です。毎年この時期は新聞、雑誌、テレビで戦争について取り上げられ、戦争を経験した人々が語ることを目にし、聞く機会が多くなります。15日付の読売新聞朝刊でも両親を亡くし孤児になり、戦後数年を路上で生活した方のお話が掲載されています。

「戦争で一番犠牲になるのは弱い子ども達だ。もう二度と戦争を起こしてはならない」

この方はこのように思い、2年前から学校や寺などで長年隠してきた過去を語り始めました。

戦争終結から72年。つらい体験を語り伝える活動をする人々の思いは生かされているのでしょうか。

確かに日本では「平和」になったといえるかもしれません。しかし世界に目を向けると、シリアでの化学兵器の使用や、相次ぐテロなどで罪のない人々や幼い子ども達が命を落としています。

戦争を経験した人々の体験談を、遠い昔の、自分とは関係のないことのようにとらえず、将来にわたって伝えていく。世界で当たり前の日常を送ることができない人々がいることに思いをはせる。これが、戦争を経験していない世代の私たちができる唯一にして最大の貢献ではないかと思います。

参考記事:

 

15日付 読売新聞朝刊(大阪14版)29面(社会)「戦争孤児 僕らで最後に」