原爆は決して必要悪ではない

 広島は6日、72回目の原爆忌を迎えました。平和記念公園では平和祈念式典が開かれ、約5万人の参列者が祈りをささげました。松井一実市長は日本政府に対し、核保有国と非保有国の橋渡し役を果たし、7月に国連で採択された核兵器禁止条約を各国が批准するよう促すことを求めました。

 日本では当然のことながら、広島と長崎への原爆投下は悲惨で二度とあってはならない出来事として認識されています。しかし、原爆を投下した当事国アメリカでは、高齢者を中心に、戦争を終わらせるための「必要悪」として捉えられる傾向があります。昨年5月、伊勢志摩サミット閉幕後に歴代の現役大統領として初めて広島を訪れたオバマ大統領(当時)も、アメリカ国内世論の反発を懸念してギリギリまで調整がつかず、結局地元・広島選出の岸田外相(当時)が説得して実現したという経緯があるようです。

 原爆を必要悪というひとには、ぜひ一度原爆ドームや平和記念資料館を訪れてもらいたいものです。いつものように朝起きて会社や学校に向かった人のもとに猛烈な熱風と放射線が浴びせられ、建物はあっという間に破壊され、熱くて川に飛び込んで亡くなった人たち。数多くの人生が一瞬にして破壊され、今も後遺症で苦しむ方を想像しただけで胸が締め付けられます。それらを考えたうえで、果たして原爆をもう一度必要悪として見られるのでしょうか。

 核兵器禁止条約の締結に向けた世界の動きをみると、北朝鮮の核開発という危険な動きが、逆に核廃絶に向けた非核保有国の動きを加速させている気がします。オバマ大統領の広島訪問の影響もあり、平和記念資料館を訪れる外国人の数は過去最多だそうです。しかし、原爆の悲惨さを知ることは、あくまでも長い道のりの途中段階でしかありません。その先にある「核なき世界」というゴールに向けて、世界中の人々の誰一人も欠けることなく、それぞれの英知を絞る必要があります。

 

参考記事:

7日付 読売新聞朝刊(14版)1面「核廃絶 広がる願い 72回目広島原爆忌」