揺らぐ支持率と揺れる世界

 1日にもとりあげた〈「適材適所」以外ありえない〉内閣改造が本日、公表されました。最近何かと世間を騒がせていた防衛相と文科相は一新され、防衛相には「敵基地反撃能力」の保有を進める小野寺五典氏が、文科相には第二次三次安倍内閣で農水相を経験した林芳正氏が入閣しました。大臣による不用意な発言や南スーダンへのPKO派遣中の陸自の日報、加計学園の獣医学部新設などを巡って広がったマイナスイメージの払拭と組織の立て直しを目指しての人選だと思われます。

 更に注目するべきは、岸田文雄氏が政調会長に、野田聖子氏が総務相になったことです。ニュアンスの違いこそあれど、朝日、日経、読売新聞3紙ともに『安倍首相が次期総裁へ向けて結束を固めるため、反主流派である野田氏の取り込みを目指し、協力を得るため岸田氏の意向を尊重した』としています。次期総裁選に向け、政権支持率低下や党内部からの批判を弱めたいというのです。

 一方で諸外国を見てみるとどうでしょうか。英国では、メイ首相の求心力が総選挙の敗北で低下し、政権交代の可能性さえ出てきています。米国では、要職の閣僚が埋まっておらず、明確な戦略は定まっていないとみられています。元陸軍所属で、現在はボストン大学で教鞭を執るA・ベイセヴィッチ氏によれば、軍事作戦がマティス国防長官や補佐官のマクマスター氏に丸投げ状態となっており、トップ据え置き型の一貫性のないものになっています。

 それに加え、朝日新聞によれば、中国国内でも『習氏の地盤固めの動きとそれに挑戦しようとする対抗勢力』が舞台裏でしのぎを削っているようです。国際社会全体で国内政治の安定が崩れ、地球規模で不協和音を発している状態になってしまっています。こうした中で、どれだけ偶発的な事故を抑え、行き過ぎを修正していくか。各国の指導者にとどまらず、私たちの共通の課題になりそうです。

参考記事:
3日付 朝日、日経、読売各紙朝刊 内閣改造関連面
同日付 朝日新聞朝刊 1面(総合)11面(国際)「核心の中国 失脚(1)」