出遅れるな、世界のカーメーカーのリーダーとして

 皆さんは電気自動車(EV)にどれほど馴染みがあるでしょうか。半年ほど前、私は日産自動車のキャンペーンに参加しました。電気自動車「リーフ」が1か月間貸し出され、その性能や走り心地などをレポートしながら旅をするという企画です。それまでは電気自動車にあまり関心がなかったのですが、この体験のなかで、加速の良さや静粛性のレベルが高いこと、なんといっても排気ガスを出さないことなど数々の魅力を感じたことは記憶に新しいところです。

 さて、フランス政府は6日、2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売終了を目指すと発表しました。電気自動車への購入補助の拡大や排ガス規制を強化していくことで対応するとのことです。この決定は日本の大半の自動車メーカーにとって大きな脅威になると感じています。

 というのも、確かに日本の自動車メーカーが発売する自動車の燃費はかなり高く、しかもモデル更新のたびにどんどん良くなっています。しかし、どれもガソリン車やハイブリッド車ばかりで、電気自動車を前面に押し出しているメーカーは現在のところ日産のみです。確かに街中で電気自動車はたまに見かけますが、「普及している」とは言い難いのが現状です。

 次世代自動車振興センターによると、2015年の電気自動車販売台数は約13,000台。日本自動車販売協会連合会によると同年の登録車台数は約500万台。きわめて微々たるものです。また、ガソリン車やハイブリッド車以外の選択肢とされるガソリン車と電気自動車を組み合わせたプラグインハイブリッド車(PHV)や水素で走る燃料電池車(FCV)も同年の販売台数はそれぞれ15,000台と500台。シェアは従来車に比べて圧倒的に低いのです。

 電気自動車の普及の遅れの最大の原因は何といっても充電スポットの少なさと充電にかかる時間です。ガソリンスタンドより充電スポットが圧倒的に少なく、また急いでも80%充電まで最大30分かかることなど、かなり面倒なのは否めません。

 今後、アメリカや中国など巨大自動車市場でも環境規制が徐々に厳しくなり自動車メーカーそれぞれは、さらに進化しなければなりません。自動車大国・ニッポンとして、今後も世界の車をリードし続けるためには、まずは日本国内で充電スポットを増やすことです。さらに、充電効率を高めるために官民が手を組まなければなりません。そうすることで、弱点をいかに克服し、環境にやさしく快適なドライブを提供できるかが勝負です。その成否が今後の日本のモノづくりを左右すると言っても過言ではないでしょう。

参考記事:

8日付 読売新聞朝刊(大阪14版)9面(経済)「仏 脱ガソリン車 2040年までに ディーゼル車も」