梅雨の晴れ間には、もうすっかり夏の日差しが感じられます。私が通う大学でも、最近冷房が稼働し始めました。ほとんどの教室が集中管理されていて、設定温度は一定にし、使わない教室は冷房をきるなど、徹底した節電が行われています。今日は私たちの生活に密接にかかわる電力とエネルギー政策について考えます。
原発新増設を明記 エネ基本計画 経産省が提案
今朝の日本経済新聞一面トップの見出しを見て、少し驚きました。記事によると、経済産業省が国のエネルギー基本計画の見直しに着手し、原発の新増設や建て替えの必要性の明記を検討していると報じています。エネルギー基本計画は、エネルギー政策の方向性を示すもので、3年ごとに見直しの議論がなされます。2017年度内の閣議決定に向けて、原発依存度を減らす方針は維持しつつ、長期的な視点から電力の安定供給や原発に関する技術を持つ人材確保のために増設や建て替えが必要だと提起するようです。
記事を読んで感じたことが2点ありました。第一に、天候に作用されやすい再生可能エネルギーを拡大するために、安定した電源が必要だからといって原子力を推し進めることは妥当なのかということです。原子力の割合は現在の数パーセントから、2030年には20~22%を目指します。もちろん、地球温暖化や電気代値上げの問題はあります。けれども不足分は火力など他のベース電源に頼り、まずは再生可能エネルギーの導入に一番の力点を置くことを忘れないでほしいです。第二に、新増設を考える前に、しっかりと原発再稼働や福島原発の事故処理に向き合うべきだと感じます。
再稼働について筆者は反対の意見を持っています。それでも、電気がなくて困るのは私たち。だからこそ、国民の意見を聞きながらどういった政策を打ち出していくのか、政府は説明責任を果たして慎重に進めてほしいです。
電力は無限にあるものではありません。いよいよこれからが夏本番。まずは、私たちが身近にできることとして、冷房の温度を上げたり、照明をこまめに消したり。日々のちょっとしたところから、節電を心がけていきたいものです。
参考記事:9日付 日本経済新聞 13版 1面 「原発新増設を明記」
4面 「原発新増設、曲折も」