テロは他人事?

 3日、イギリスで7人が死亡、48人が負傷したテロが起こりました。詳しい理由はわかっていませんが、ISが関係しているとみられています。

 政府は「テロを含む組織犯罪を未然に防止し,これと戦うための枠組みである国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結して,国民の生命・安全を守るため」に今国会でテロ等準備罪を成立させようとしています。ただ、法整備でテロが起こるリスクを完全になくすことはできるのでしょうか。

 ここ最近、各国で起きているテロ。外務省のホームページを見ると、テロがなくならない理由として宗教や民族、政治的対立による紛争、克服されない貧困、脆弱な統治機構など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているとしています。1つに絞ることはできませんが、秩序維持のためには、あらゆるリスクをできる限りなくしていくことが必要です。

 貧困といえばアフリカ諸国をはじめとする開発途上国の話だと思いがちですが、決して他人事ではありません。本日の朝日新聞は、イギリス在住のライター、ブレイディみかこさんについて紹介しています。ブレイディさんによると年一回、日本に帰ってくるたびに若者の元気がなくなっていると感じるそうです。「お金がない人間は人間じゃない」というプレッシャーが、生きづらくしているのではないかと推測しています。日本の相対的貧困率は約16%で、OECD加盟国の平均を上回っています。この数字は、決して住む場所がない、働けないといった目に見える「貧しい」人だけではありません。

 2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)。その一つとして「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」ことが挙げられています。ドイツのベルテルスマン財団と持続可能な開発方法ネットワーク(SDSN)が共同で発表した2016年の報告書には、この目標に対して日本の達成の度合いが低いと指摘されています。日本で起きている現実をしっかりと受け止め、解決策を見出す必要があります。

参考記事:
6日付朝日新聞朝刊(東京14版)25面(生活)「政権交代…消えた無料託児所」