「百害あって一利なし」
たばこに対してよく使われる言葉です。実際に喫煙者は非喫煙者と比べてがんで死亡するリスクが男性で2倍、女性で1.6倍となっています。また、副流煙によってたばこを吸っていない人にも悪影響を及ぼすことが報告されています。たばこによる健康被害を受けて、世界中でたばこを規制する動きが強まっています。
私は、日本の規制は不十分であると感じます。禁煙席がない飲食店はまだ多くあります。また、禁煙席がある場合でも分煙が徹底されておらず、煙が流れてくることもあります。
世界保健機関の評価においても、日本のたばこ規制状況は「世界最低レベル」となっています。受動喫煙対策が現行の健康増進法では努力義務にとどまっていて、義務化されていないためです。厚生労働省は法の改正を目指していますが、自民党が反対するなど賛否両論がぶつかり、今国会での法案提出のめども立っていません。また、海外で販売されているたばこには大きく喫煙によるリスクが印刷されていますが、日本では小さなままです。
国民の意識はどのようなものでしょうか?
国立がん研究センターの調査によると、たばこの陳列販売禁止を成人の55.5%が支持し、自動販売機の設置禁止にも68.3%が肯定的でした。映画やドラマで喫煙シーンがあり、たばこを吸うことがもてはやされた時代もあったことを鑑みれば、人々の意識が高まっているといえます。
喫煙するか否かは個人の自由ですが、その行為にはリスクが伴うこと、周囲の人々にも迷惑を及ぼしかねないことを認識し配慮をもって吸ってほしいと思います。また、国も人々の意識の高まりを反映して、規制の強化を推進して欲しいものです。
参考記事:
同日付 日本経済新聞朝刊(大阪13版)34面(社会)「たばこ陳列 禁止支持55%」