祖母のクローゼット

 祖父の三回忌と祖母の十三回忌の合同法要があり、この週末に秋田に帰省しました。かつて祖父母が暮らしていた家に、久しぶりに親戚が集いました。普段は誰も住んでいませんが、両親が定期的に通って維持管理しています。遺品整理も少しずつ進め、全体の半分くらいは片付いたそうです。とはいえ、食器棚や蔵など手つかずの場所もたくさんあります。

 祖母のクローゼットもその一つでした。手の空いた時間に、しまわれていた洋服を叔母や姉と引っ張り出してみると、モダンな柄物のワンピースやハンサムなジャケットなどお洒落なものがたくさん。今でも着られそうなデザインの洋服もあり、姉と私はそれぞれワンピースとブラウスをもらうことにしました。

 人生の最期を迎えるにあたり事前に準備や身辺整理をする「終活」が、注目を集めています。記事では、業者に依頼して、空き家になった実家の遺品整理を行った57歳の女性の話を紹介しています。2階建て4LDKの家から運び出された家具や家財は2トントラック13台分にもなったそうです。

 「子どもに迷惑をかけたくない」「施設に入るので家を整理したい」という理由で、元気なうちに持ち物の整理を依頼する人が急増しているのだといいます。かつてはこうした考え方は普遍的ではなかったと思いますが、今の中高年層の間で終活ブームが起こっているのはなぜなのか。恐らく、親の死後に家財処分などで苦労した経験が理由の一つとしてあるのではないでしょうか。

 家族にとっての思い出の品や本人が大切にしているものは残し、必要がなくなるものは潔く処分できるよう、事前に家族で相談しておくと整理もスムーズにできます。まだ使えるものはリサイクルや寄付をして再活用してもらえば無駄になりません。祖父母の家は広い上に物も多かったので大変でしたが、私の実家も負けず劣らず物が多いので、事前の話し合いの必要性を切に感じています。日本人の平均寿命が80歳超だということを踏まえると、実家の整理は10年、20年先の話になりますが、今のうちから家族でお互いの思いを確認しておきたいものです。
 

参考記事:
21日付 読売新聞(12版)28面「生前に家財を整理 今どきの終活(上)」