今こそ報道機関は勝負どき

 昨年の大統領選挙で、トランプ陣営がロシアによるサイバー攻撃などに関与したのではないかとされる「ロシアゲート」疑惑。過去にも似たようなことがあったような気がします。ニクソン大統領の辞任につながった1972年のウォーターゲート事件です。トランプ氏は、コミー連邦捜査局(FBI)長官を解任させました。一方のニクソン氏は捜査が自分の周辺に及ぶと、捜査責任者を解任しています。結末も一緒なのか。それが分かるまでには時間がかかりそうです。

 17日、米司法省は独立性の高い特別検察官を設置することを決めました。捜査の進展によっては、政権の命運に関わるかもしれません。特別検察官に任命されたのはモラー氏。元FBI長官です。今回のように司法省関係者以外から起用されたのは、1999年以来で2例目。外部の特別検察官に捜査を委ねた背景に、世論への配慮があげられます。トランプ氏とロシアを巡るスキャンダルが連日のように報道され、公平な捜査を求める人々の声が強まったのです。メディアが大統領に関する疑惑を追及し、世論もそれを支持した。そのことに関心を持ちました。

 「,,,seriously!?」(マジかよ!?)の一言とともに、アメリカでソーシャルワーカーとして働く知人のアメリカ人がモラー氏の任命に関するニュースをフェースブック上でシェアしてきました。彼はいつもトランプ氏の発言や報道に敏感に反応し、「おかしい」と思ったことにはきちんと声をあげます。こうした人々が米国の世論を作っていくのだと思いました。

 メディアの姿勢や報道に期待する気持ちは日本でも同じはずです。「森友学園問題」や国家戦略特区での獣医学部の新設をめぐり、民進党が「総理の意向だ」などと書かれた文書の存在を指摘していることについて、真相をはっきり知りたいものです。

 ウォーターゲート事件といえば、調査報道を粘り強くつづけた2名の新聞記者の手記「大統領の陰謀-ニクソンを追いつめた300日」に基づく映画『大統領の陰謀』(1976)を思い出します。真実に迫りながらタイプライターを打つ姿が忘れられません。米国も日本も、報道機関には今こそ頑張って欲しいものです。

参考記事:
19日付 朝日新聞朝刊(東京14版)1面(総合)「米司法省は反旗 特別検察官を任命 ロシア疑惑究明 新局面」
同日付 日本経済新聞朝刊(東京14版)1面(総合)「トランプ政権 命運左右」
同日付 読売新聞朝刊(東京14版)1面(総合)「米特別検察官が捜査へ」