急がれる地域の鉄路による分断解消

 中学生のころから電車で通学しています。日々の憂鬱の種は人身事故や車両トラブルでの遅延です。先日、毎日使うJR大阪駅にホームドアが設置されていました。これで少しは遅れが減るのかと期待していました。

 15日午前、神奈川県川崎市の京急線の踏切で、男性2人が電車にはねられて死亡するという痛ましい事故が起きてしまいました。防犯カメラの映像によると、警報機が鳴り始めてから踏切に進入した男性を、もう2人が助け出そうとして一緒にはねられたということです。

 残念ながら、鉄道での痛ましい事故はなくなりません。踏切ではねられてしまう悲劇もそうですし、駅では視覚障害のある方がホームから転落し亡くなる事故も後を絶ちません。もちろん、鉄道会社も手をこまねいているわけではありません。ひとたび人身事故が起きて電車の運行が止まってしまえば大きな損害をこうむるため、各鉄道会社は駅にホームドアを設置し、乗客と電車が接触する可能性を出来る限り減らそうとしています。

 1駅あたり億単位での設置費用がかかるうえ、電車のドア位置を統一する必要もあり、広く普及しているとは決して言えません。それでも安全なホームになった駅が一つずつでも増えていくことが求められています。

 もう一つ注目したいのが鉄道の立体交差化です。もともと地上を走っていた線路を高架または地下に移して踏切自体をなくします。ご想像の通り、この事業は莫大な費用がかかります。私の住んでいる兵庫県西宮市にある阪神電車は、つい先日一部区間を高架化しましたが、2kmに満たない区間の高架化に297億円かかりました。

 このため、鉄道会社のみならず国や地方自治体と協力した大がかりな事業になりますが、人身事故の低減のみならず街の再開発を行えるという大きなメリットがあります。今まで地上を走る鉄道で分断されていた地域の住民の行き来が活発になり、街全体が盛り上がることが期待されるのです。

 踏切事故のような痛ましい事故を起こさないことが何よりも求められていますが、あわせて街の活性化も大切なはずです。鉄道会社、国、地元の3者が協力して真剣に取り組むことを強く求めたいものです。

参考記事:

16日付 読売朝刊(14版)28面(社会) 「77歳男性?警報後に進入 川崎踏切事故 救助で死亡52歳男性か」