支援の仕方を考える

 31日に一部区域の避難指示が解除された福島県浪江町。筆者は一昨年の8月から、サークル活動として、若いよそ者がIターンのような形で定住することができるかを探るため、月に一度訪れています。そして、この記事も浪江で執筆しています。

 昨日、安倍首相は今村復興大臣とともに、福島県を視察しました。注目されたのは、原発避難者をめぐる、今村復興大臣の発言について陳謝したことでした。ですが、浪江では仮設商店街「まち・なみ・まるしぇ」を訪れ、浪江焼きそばなどを食べるなど、風評被害払しょくのためのアピール活動も行っていました。福島視察後には、県産品の風評払拭と販路拡大を支援していく意向も示してくれました。

 町は四月に入り、郵便局の営業再開、常磐線下り電車の復旧と人が住むための設備が整いつつあります。浪江駅のバス停には到着を待つお客さんで行列ができていました。一昨日も町民の帰還を歓迎する花火大会が開かれました。しかし、未完成の施設もあります。町の将来を担うこども園や小中一貫校は工事中で来年度の開始を予定しています。避難指示が解除され、帰還できるような環境が整っているという印象がありましたが、子育て世代が戻ってくるには引き続き厳しい現実があります。 このように被写体を少しずらすだけで、進んでいるようにも停滞しているようにも見えます。

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 支援の仕方も考える必要があります。原発事故後、警戒区域等に居住していた方は特定の区間の高速道路料金の無料措置が取られていましたが、これが来年度まで継続することが決定しています。浪江町民を対象とした仮設住宅及び借上げ住宅の供与期間が1年間延長となり平成30年3月末までとなっています。来年度までに問題なく移行できるようにすることも政府の責務になります。

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 さらに、どれだけの町民が、どのタイミングで帰還するかも不透明です。そんな中で、復興を進めていかなければなりません。総理や大臣には、支援をすると言った以上、適切な支援ができるように今回の視察で満足することなく、定期的に現状把握をすべきではないでしょうか。

参考記事:
9日付 朝日新聞朝刊(東京13版)38面(社会)「復興相発言 首相が陳謝」
同日付 読売新聞朝刊(東京12版)4面(政治・経済)「復興相発言 首相が陳謝」