フランス人の友達は帰国するときは必ず「5円玉をお土産にしよう」と言います。穴あき硬貨は珍しく、きちんと磨けば金色で美しい。福沢諭吉の描かれた紙幣より5円玉の方が嬉しいとは驚きです。たしかに、フランスに行ってしまえば、一万円も5円玉も両替をしなければ使えません。おもちゃのお金と一緒なのです。お金は、その国がお金としてみんなが認めているからこそ価値を持ち、使うことができます。
では仮想通貨を代表するビットコインはどうでしょうか。デジタルの通貨であり、中央銀行の規制もなく参加者の合意に基づいて使われています。送金も自由ですし、外国で両替なしで使うこともできます。ある意味「世界共通の通貨」になるかもしれません。
しかしそう言われてもなんだか怪しげに感じます。そう思う背景の一つに実用面での不安があります。思い返せば、ビットコインへの「変換所」として設立されたマウントゴックスの責任者が窃盗行為で疑惑をもたれたことがありました。マネーロンダリングや脱税に利用される恐れもあります。すでに世界での利用者数は2000万人を超えています。ですが、その8割は北米と欧州。日本には馴染みがありません。だからこそ危ないと思ってしまいます。
そんなイメージが変わるかもしれない。今朝の記事を読みながらつぶやきました。国内でビットコインでの支払いができる店舗は現在4500カ所程度。それがリクルート加盟店とビックカメラが新たにビットコインでの決済を導入することで、26万店に急拡大すると書かれています。
私のような株などに関心がない層には無縁の話かもしれませんが、ビットコインの価値は常に変化するので売買によって儲ける人たちが出てくれば、日本でもビットコイン口座が増える可能性があります。しかも1日に改正資金決済法が施行されました。7月からは仮想通貨の購入する際に消費税がいらなくなる税制上の措置も後押しになるはずです。
日本のみんながビットコインをお金と認めるようになったら、どんな社会になるのでしょうか。金融サービスにどのような影響を与えるのか目が離せません。
参考記事:
5日付 日本経済新聞朝刊(東京14版)1面(総合)「ビットコイン対応26万店 ビックカメラなど導入 投資対象から決済へ」