社会で支える「こども保険」

 先日、空手道の指導をしていると、春休みということもあって、普段は見かけない小学校3年生の男の子が練習に来ました。分け隔てなく、その子にも指導しましたが、言っていることが分からなかったようです。「なんでだよー」と言い返してきました。あまりにも汚い言葉遣いに一喝。それと同時に、自分もこうやって、大人に育ててもらったのだと、感じました。まもなく4年、最後の学生生活を迎えようとしています。つくづく思うのは、ここまで育ててくれたのは、両親のみならず、数えきれないほど多くの大人であるということです。

 自民党は教育予算の財源をめぐり活発な議論を展開しています。将来世代に負担させる教育国債か、現役の働き手や企業が負担する厚生年金保険料に上乗せして徴収するこども保険か、それとも全ての国民で負担する消費税にするか。

 筆者はこども保険で教育の財源を確保してほしいと思います。消費税を10%にすることもできない政府が、さらに増税できるとは思えません。それに、教育国債のように将来にツケを回すのでもなく、今の大人が教育費を負担すべきです。子どものいない世帯や子育てが終わった家庭は恩恵を受けないため、不公平を感じるのではないかという懸念があるようです。しかし、その子ども世代に将来、社会保障制度を通じて支えてもらうのですから恩恵を受けられないなんてことはないのです。

 国よりも先に、動き出した企業があります。吉野家はアルバイト学生に対し、奨学金制度を導入することを決めました。驚くのは、卒業後に吉野家に入社すれば全額免除、同業他社に勤める場合でも半額免除にすることです。企業にとっては人材確保という一面もありますが、経済的な問題を抱え、大学進学を諦めてしまう学生にとっては朗報です。

 自分の子だけでなく、社会全体で子どもを育てていきたいものです。学生生活の残り1年を、大人に支えてもらったことに感謝していきたいと思います。

参考記事
3月30日付 朝日新聞 13版 5面 「こども保険創設を提言」
3月30日付 日本経済新聞 1面 13版 「学生バイトに奨学金」
3月30日付 読売新聞 13版 4面 「教育財源 自民内で白熱」