日本で働く外国人が2016年に初めて100万人を超えました。福岡市の新聞社でのインターンシップに参加したときに、外国人留学生に街頭取材をしました。
実際に町に出てみると5分もしないでネパール人を見つけることができました。厚生労働省の調査によると、16年10月末時点の外国人労働者は108万3769人。特に、ネパール人は5年前の7.5倍に急増しています。そう言われてはいるものの、なかなか取材相手が見つからないだろうと想定していたので驚きました。
21歳のネパール人男性に話を聞きました。彼は留学生で、日本に来て2年目。ネパールにいたときに友人から「九州は働きやすい」と言われていたため、留学を決意したそうです。今後福岡で働くことを見据えて、市内にある日本語学校に通っています。話を聞いていると、留学生が日本社会から孤立していることがわかりました。
「アルバイトと日本語学校の往復。疲れちゃうよ」とたどたどしい日本語で語ります。お弁当の工場でのアルバイトは大体週5回、1日5時間ほど。生活費や学費のために働きます。日本に来たからと言っても、職場もネパール人ばかりなので、日本人の友達は一人もいないのです。「サッカーしたいな。福岡に来て一回もやっていない」と寂しそうにつぶやきました。
「サティになってよ」と言われました。サティとはネパール語で「友達」を意味します。もちろん、と笑顔で言おうとしたら名前と連絡先を聞いていないことに気が付きました。聞いてみると、急に顔を曇らせ「それはできない。今のアルバイト先に迷惑をかけちゃうかもしれない」と足早に去っていきました。
「これからも日本で働きたいか」という質問に彼は、はっきりと「働きたい」と言いきりました。ネパールよりも日本は稼ぎがよく、暮らしやすいからです。これからも、人手不足の現場では技能実習生や留学生が貴重な戦力として雇用されていくでしょう。ですが、外国人労働者が働きやすい環境だとは決して思いません。相談をしたり、愚痴を言い合ったりできる日本人がいないからです。その背景の裏にアルバイトが忙しいこともありそうです。外国人労働者が不当に搾取されることがないように、しっかりと見守る態勢も必要になってくるでしょう。
いつかネパール人とサティになりたいものです。
参考記事:20日付け 日本経済新聞朝刊9面(東京)特集「外国人材と拓く 100万人の存在感」