17日の投稿「『社員のための保育』に企業が動く」に引き続き、待機児童の問題を取り上げます。
17日の参議院予算委員会で印象的なやりとりがありました。民進党の山尾志桜里議員が待機児童問題を取り上げ、「総理はいつまでに待機児童ゼロを目指すと言ったのですか?」と質問しました。すると、安倍首相はすぐには答えられえず、後ろにいる事務方に聞こうとしました。その様子を山尾議員から批判された安倍首相ですが、担当者に確認してから「2017年度まで」と答えました。「保育園落ちた日本死ね」のブログが話題になってから、国会で何度も「2017年度までに待機児童ゼロ」と言ってきたはずです。期限を問われてパッと出てこないのはどういうことなのか。意気消沈しました。
安倍首相は、この目標達成について「間違いなく達成できる状況ではない」「非常に厳しい状況になっているのは事実」と述べました。しかし、目標自体は取り下げませんでした。
一見、改善されていないように見えるこの問題ですが、そうともいえません。政府は13~15年度に約31万人分の保育の受け皿を確保しました。また、16、17年度でさらに約17万人分を上乗せする方針です。全体の申込者数を上回るようになっているといいます。
それでも16年4月時点で2万3553人も待機児童がいる理由は、働く既婚女性が増えていることと、保育の需要が都市部に集中していることです。総務省の労働力調査によると、25~44歳の働く既婚女性は633万人で、4年前に比べて19万人増えました。働く女性が増えれば、保育の需要が増えるのは当然です。それと同じように、仕事が多い都市部でこそ保育施設が必要とされます。
施設や保育士の確保が求められますが、必要な財源のめどは立っていません。しかし、ここで少し無理をしてでも、お金をかけることが必要だと思います。経済成長すれば財源が確保できるからそれまで待機児童対策を我慢するのか、待機児童対策をして女性の労働力を活用して経済成長に繋げるのか。これは鶏が先か、卵が先かと同じです。この議論を続けても、堂々巡りで時間がかかるだけです。それならば、「待機児童対策を無理してでもやります」と決断し、指揮を執ったほうが、国民は納得できるのではないでしょうか。
いつまでも鶏か卵か、と言っているのではなく、「こう決めました」と言えるリーダーシップを政権には期待したいものです。
参考記事:
18日付 朝日新聞朝刊(東京13版)「『待機児童ゼロ』いつ?」1面
18日付 読売新聞朝刊(東京13版)「待機児童ゼロ『厳しい』」2面(総合)