ローカル線の代わりに

 全国96社中、71社が赤字。利益を重視するなら、とても続けていくことはできない業界です。「鉄道がなくなって栄えた町はない」。三陸鉄道社長の言葉から、住民の交通を守る決意がうかがえます。

 朝日新聞の連載「てんでんこ」が、地域鉄道に注目します。中小民鉄や第三セクターの運営する地域鉄道は、現在極めて厳しい状況に置かれています。旅客の減少や、災害により発生した巨額の復興費用に経営を圧迫されており、廃線を余儀なくされる路線も目立ちます。連載では、三陸、南阿蘇、ひたちなか海浜、若桜など、岐路に立たされるローカル鉄道の姿を取り上げます。第1回は、「あまちゃん」で全国的に有名になった三陸鉄道の記事から始まりました。

 都会で暮らしていると、鉄道路線の赤字と言われてもなかなか想像ができません。ところが、現状を調べてみて驚きました。国交省のまとめによると、4分の3の事業者が鉄道事業で赤字を計上しています。輸送人数は、ピーク時の約2割減少しました。さらに、トンネルや橋の老朽化も深刻です。修理には更なる出費が必要になります。

 最近ではJR北海道が、不採算路線を廃線にしました。タクシーが代わりに運行されることになっています。ところが、ニュース映像の奥には、まだたくさんの家が見えていました。全ての交通をタクシーで補えるのだろうかと、心配になってしまいます。

 採算の取りにくい地域鉄道の代わりに、色々な代替案が模索されています。昨年は過疎地で配車システムの試験運用が行われているというニュースがありました。交通は放棄することのできない大切なインフラです。ローカル鉄道に注目して、「てんでんこ」はどんな現状を描き出すのでしょうか。続きが気になります。

<参考記事>
1月3日付 朝日新聞朝刊3面『てんでんこ 線路は続く(1)被災』