新年を迎え、どんな年を過ごそうかと思いを巡らせている方も多いでしょう。そこで、各新聞社は将来をどのように見据えているのか考えます。今日は、新聞は休刊です。元旦に届けられた新聞の社説の見出しを見てみましょう。
読売新聞 反グローバリズムの拡大防げ トランプ外交への対応が必要だ
日本経済新聞 揺れる世界と日本(1)自由主義の旗守り、活力取り戻せ
朝日新聞 憲法70年の年明けに 「立憲」の理念をより深く
3紙に共通しているのは、当たり前のことが壊れてしまうことを警戒しているということです。
読売新聞と日本経済新聞では、今まで築き上げ、身近になってきたグローバル化の風潮や自由貿易が停滞してしまうことを気にかけています。トランプ氏の米大統領選勝利やイギリスのEU離脱をふまえ、各国が内向き志向でいることに危機感を持っているのです。今年は、ヨーロッパで重要な選挙が多く行われる予定です。例えば、フランスの大統領選。フランスでは女性版トランプといわれる「国民戦線」のルペン党首が台頭しています。ドイツの連邦議会選挙も行われます。この国でも、難民支援の削減を主張する極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が勢力を拡大しています。
反グローバリズムの動きが広がると、ドミノ倒しのようにヨーロッパの各国がEUを離脱していくかもしれません。もちろん、市民が選択をしたことであれば受け入れなければいけません。ですが、アベノミクスの減速が指摘される中、世界情勢の先行きの不透明は不安なのでしょう。
一方で、朝日新聞は憲法について述べています。昨年に行われた参院選では、改憲発議に必要な議席数を改憲勢力で占めることになりました。憲法には政治権力がしていいこと、いけないことが書いてあります。記事では、公権力を縛り、暴走を防ぎ、基本的人権を守る立憲主義の理念を大切にすることを主張しています。今年、憲法施行70周年を迎えます。いよいよ発議することも可能な状況になり、今まで一度も改正することがなかった最高法規をどうするのか意識するように訴えているのでしょう。
私にとって生まれた時には現行の憲法がありました。簡単に海外の商品を手にすることができますし、人とモノが行き交うのが日常です。ですが、その基盤が揺るがされている時代なのだと思います。「当たり前」が崩れかねない時だからこそ、きちんと社会を見つめたいものです。今年も報道において客観的な情報や分析を求めます。
1月1日付け
朝日新聞(東京12版)11面 「憲法70年の年明けに/「立憲」の理念をより深く」
日本経済新聞(東京14版)2面 「揺れる世界と日本(1)自由主義の旗守り、活力取り戻せ」
読売新聞(東京13版)3面 「反グローバリズムの拡大防げ/トランプ外交への対応が必要だ」