国有化のリスクと必要性

みなさんはある企業がついに国有化から解放されたのをご存知でしょうか?

りそなホールディングス(HD)が約3兆円の注入を受けた公的資金を7月末でほぼ返済し、2003年から続く実質国有体制は終了する。(日本経済新聞)

1990年代後半の金融危機の対応で、政府は民間金融機関に計12兆円強の公的資本を注入しました。大手銀行が返済を済ませる中、長らく政府監視のもとに置かれていたのがりそなホールディングスでした。

りそなへの公的資金の注入は、破綻を事前に防ぐ銀行救済のモデルになりました。自己資本比率の低下に伴い、金融機関側から予防的かつ自主的に公的資金注入を申請するというものです。金融システムにおいて最も怖いのは、1つの銀行の支払い不能が取引先銀行の支払い不能を引き起こす連鎖です。

1つの金融機関の破綻が金融機関同士の不安を生むことになり、経済の血液とも呼ばれる資金の流れが悪くなります。経済全体への影響が大きい金融機関の破綻は極力避けなければならないものですが、公的資金の注入は経営陣のモラルハザードを発生させます。金融機関のモラルハザードとは国有化により破綻を避ける努力がなくなって自己規律を失い、過度のリスクテイクをとるような資産運用や経営を行うことです。自己資本比率をあえて低くするような金融機関に、政府は予防的な公的資金を注入してもいいのでしょうか。世界的な金融緩和のながれの中、金融機関のリスクに対する受容度は高まっています。過度なリスクテイクが金融機関を危険な資産の購入に走らせ、金融機関は不良債権を抱え込むことになりはしないでしょうか。

みなさんは金融機関の破綻に対して国がどのような救済策をとるべきだと思いますか。また、破綻してしまうと影響が大きく潰せない金融機関ではなく経営が安定した潰れない金融機関にするはどうしたらいいと思いますか。ご自由にご意見お寄せください。

 

参考記事

日本経済新聞 8/4朝刊 金融面「りそな、実質国有化終了」

 

 

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