まとめ記事、間違っていた?

 「二日酔いに効く飲み物って何?」飲み過ぎた次の日の朝、起きてまず始めに「二日酔い 飲み物」とgoogleで検索しました。検索一覧にはこのように出てきます。

2016-12-05

 

 まずは一番上に出てきたサイトへ、とアクセスしました。記事を信じ、トマトジュースを買って飲みました。「キュレーションサイト」を信じて…。

 「キュレーションサイト」は「まとめサイト」とも呼ばれ、ネット上の情報を共通のテーマのもとで集め、まとめられたものです。スマホでも見やすくデザインされ、若者の間ではなくてはならないものとなっています。DeNAやリクルート、サイバーエージェント、ヤフーなどが運営しており、無料閲覧が基本で、広告収入で稼ぐ仕組みとなっています。

 二日酔いに効く飲み物を知りたいときにも、冬のおすすめネイルをチェックしたいときにも、まとめサイトを見れば、わかりやすく知ることができます。

 しかし、このような記事を削除する動きが相次いでいます。先月29日、DeNAが運営する医療情報サイト「WELQ」の公開を中止し、他の子育て情報サイト「cuta」やファッション情報サイト「MERY」を含む全10媒体で削除を始めました。発端となった「WELQ」は医療従事者などから「記事が間違っている」という指摘があったそうです。また、リクルートの「ギャザリー」やサイバーエージェントの「スポットライト」でも医療や健康に関わる記事の公開を中止しています。内容に疑わしい点があったり、掲載前に監修していなかったりという問題が出てきました。

 私が飲んだトマトジュースに効果があったのかはわかりません。トマトジュースを飲んだだけで、なんともありませんから、私の場合は笑い話で済みます。しかし、健康や医療、子育てなど、万一の場合には、命に関わる内容の記事が間違っていたおそれがあります。多くの人に見られて、広告収入を得ることばかりに気を取られすぎて、内容が保証されていないネットの弱さが明らかになりました。

 今回、問題となったサイトを運営する会社はすべてIT大手です。「ネットの情報は信じられない」を変えていくべき会社がこうでは残念です。読者からも広告主からも信用を失ってしまいました。いくらネットの情報は信じられないと言っても、なくてはならない存在で、共存していかなければなりません。利用者にメディアリテラシーが求められるのはもちろんですが、それ以上に正確な情報をネットに発信していこうとする企業の姿勢と努力が必要です。この問題をきっかけに、少しでも信頼性のある記事の配信を進めてほしいと思います。

参考記事:
1日付 日本経済新聞朝刊(東京14版)「まとめ記事 質置き去り」15面(企業・消費)
3日付 日本経済新聞朝刊(東京14版)「衣料サイトも記事削除」13面(企業・消費)
5日付 日本経済新聞朝刊(東京14版)「まとめ記事 削除広がる」5面(企業)