ペットを飼うなら、猫ですか。それとも犬ですか。
今、日本には空前の猫ブームが訪れています。和歌山電鉄貴志川線の猫駅長、ニタマに会いにたくさんの観光客が貴志駅を訪れ、猫の写真に格言を付けた本、『人生はニャんとかなる!明日に幸福をまねく68の方法』は50万部のベストセラーとなっています。雑貨屋には、猫の形を模したグッズが立ち並び、「ねこ」の経済効果を「アベノミクス」になぞらえて「ネコノミクス」と呼ばれるようにもなりました。
「ねこ」という存在自体の価値が急上昇し、飼いたいと考える人の数も増えているようです。犬と比べて散歩などの手間がかからないし、犬より小さいことが多いので費用もかからない、といった理由で猫を飼う方が敷居を低く感じる人が多いのもその理由かもしれません。
一方で、全国の保健所での猫の1年間の引き取り件数は約9万匹と、依然として多いままです。そのうち子猫は5万8千匹。安易に飼いはじめたが予期せぬ出産で子猫の譲り先が見つからなかったのでしょうか。どのような理由であれ、保健所に引き取られた大半はガス室で殺処分されてしまいます。
このような殺処分をなくそうという活動が各地で行われています。以前「増やそう 野良猫ではなく地域猫」(http://allatanys.jp/blogs/2374/)で触れた「地域猫活動」もそのひとつですが、犬猫を実際に保護し、「里親」を探す活動も、殺処分ゼロを目指すための大切な活動です。
ペットを飼おうと思ったら、一般的にはみんなペットショップに向かうはずです。NPOを訪れ、譲渡募集の犬猫を探そうという人は多くありません。そもそも、そうした活動自体への認知度があまり高くないのです。
そんな中、本日の朝日新聞朝刊によると、人気バンド「SEKAI NO OWARI」が「殺処分ゼロ」の活動の支援を始めたそうです。ファンを通じて活動の認知度を上げ、支援ソングや支援ライブの収益を寄付する、というものです。メンバーのFukaseさんは「日本人らしさなのか、人が倒れていても、最初に助けるのは難しい。(中略)だから、僕らがきっかけになれたらと思います」と語ります。
Fukaseさんの言うように、「譲渡を受ける」という道をはじめに選ぶのは勇気がいることかもしれません。しかし、引き取ることで殺処分される命が確実に減るのです。
ペットショップに足を運ぶその前に、譲渡活動を行っているNPOを訪れてみてください。たくさんの猫が、そこであなたが差し伸べる手を待っています。
参考:22日付 朝日新聞朝刊 31面 「ペットとともに 殺処分ゼロへ セカオワが歌う」
文響社HP
環境省統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」