「つなみ!にげて!」生きた備え

5時59分に、長い揺れで目が覚めました。テレビをつけると、アナウンサーが聞いたこともないような強い調子で訴えかけています。画面に釘付けになりました。

22日の早朝に、マグニチュード7.4の地震とそれに伴う津波が発生しました。被災地の人々の備えは、どう生きたのでしょうか。朝日新聞の記事から考えます。

事前に話しておくだけでも、大きな効果があったことが分かります。67歳の男性は震災後、月に1回の家族会議を開き、避難時のルールを話し合っていました。自分の持ち物は自分で用意し、公民館に避難する。早朝の避難であっても、家族全員が落ち着いて動けました。また66歳の女性は、普段から「何かあったらよろしくね」と声をかけあっていました。車椅子の夫の避難に、近所の人々が手を貸してくれたようです。

一方で、新しい問題を自覚した人もいます。55歳の女性は高台の中学校を目指して車を運転していましたが、渋滞に巻き込まれてしまいました。「次はビルに避難します」と話しています。

せっかく早く出発することができても、これでは不安です。津波のやってくる時間も高さも、場所によって差がありました。放送では、早朝の6時から「すぐ来る」と予報を出していました。ところが22日夕刊の表によると、最初に来たのはいわき市の6時49分です。そこから各地で津波が観測され始め、午前9時過ぎまで情報が更新され続けました。できるだけ現在地から近く、かつ長くいられるような避難場所が必要です。

防災意識が変化しています。NHKの防災放送は、より強い口調でわかりやすいメッセージを伝えるようになりました。「つなみ!にげて!」のテロップは強烈な印象です。そして、今日の記事で紹介したように、個人レベルの教訓も確実に活きています。次の大地震に不安を覚えながらも、ほんの少しだけ心強さも感じる日でした。

参考記事:
11月23日付 朝日新聞朝刊 39面『備え あの日から』
11月22日付 読売新聞夕刊 1面『M7.4 津波仙台1.4メートル』