パリ同時テロから、わが身を振り返る

 イスラム過激派組織「イスラム国」(IS、ISIL)がパリの劇場やレストラン、競技場など同時に襲撃したテロから昨日13日で1年が経ちました。こんな事件もあったなというのが率直な気持ちです。2015年1月に起きた日本人拘束事件や7月にバングラデシュ・ダッカのレストランで起きた事件など日本人が被害にあったものや、3月のベルギー・ブリュッセル、6月のトルコ・イスタンブールなど大都市が狙われたテロには衝撃を受けました。その思いは一時的なものだったのだと「パリ同時テロから1年」の紙面を見て、反省しています。

 いまもテロリストによる襲撃で苦しんでいる人々います。昨日の記事にも8、9日にISがイラクで民間人約60人を殺害し、遺体を市内各地の電柱や交差点につるしたとあります。

 なんて無慈悲な行為なのだと思う一方で、普段なら見過ごしてしまう記事でもあります。日本人の被害者がいないから、主要都市が狙われたわけではないから関係ないだろう思っているからです。

 それではいけないのです。過去にあったようにいつ日本人が狙われるか、日本にテロリストがやってくるか分からない現状で他国のテロは関係ないというのは、油断の表れです。

 また、フランス国内ではイスラム教徒に対する偏見が深いようです。モスクに黒のスプレーで憎悪の言葉を書きつけられたり、町で「出ていけ」とののしられたりしているようです。「イスラム教」とイスラム過激派組織「イスラム国」が混同しているのです。アメリカのトランプ次期大統領にもそうです。選挙戦でイスラム教徒の入国を禁止すると言いました。全世界で約16億人いるといわれるイスラム教徒のすべての人が悪なわけがありません。

 ただ、このような光景は日本でも今後、あらわになってくるかもしれません。訪日外国人が増えるにあたり、イスラム教徒も増えていくでしょう。イスラムの世界や中東の動きにほとんど関心を払ってこなかった多くの日本人にとって、正しく接することはできるのでしょうか。

 昨年末に東京・代々木上原にあるイスラム教礼拝堂、東京ジャーミー行った時のことを思い出しました。イスラム教徒の人たちが拝礼をしている光景は筆者にとっては異様なものでした。しかし、その後インドネシアから職業訓練できている男性に話を聞いたら、気さくに答えてくれたのです。イスラム教徒へのイメージが変わりました。

 パリ同時テロから1年。テロへの対策、そして自分とは異なる文化を持つ人への理解を進めていかなければいけないと自戒しました。まずは、近いうちにモスクに行こうと思います。

 

参考記事
13日付 朝日新聞 13版 7面 「パリ 傷癒えず」
同日付 読売新聞 12版 25面 「パリ同時テロきょう1年」