本日31日は10月のビッグイベント、ハロウィンの日ですね。筆者の大学でも、仮装した学生が何人も現れ、話題になっています。
しかし、筆者がアルバイトしている塾には、浮かれた空気は一切ありません。一週間後の11月5日から、それよりも重要な出来事、第2回高卒認定試験(高認試験)が行われるのです。高校を中退した、あるいは通っていない人が、「高校卒業と同程度の学力を持つ」ことを証明し、次の進路に活かそうと挑戦するこの試験。筆者もちょうど5年前のこの時期に受験しました。アルバイト先では、高認資格を取ろうと、試験に向けて勉強に励んでいる生徒たちを目にすることができます。
高認試験の受験者のほとんどは、不登校などが原因で普通制学校に通えなくなった人で、さらに、その多くが通信制高校に通うだけの金銭的、時間的余裕はない生徒だと思われます。筆者自身も、当時は公立高校の授業料が無料の時期でしたので、学費のかかる通信制高校にわざわざ通いたくない、と考え、通信制への編入をやめました。その代わりに塾に通わせてもらって高認資格を取得し、大学への切符を手に入れました。
筆者も、アルバイト先の生徒たちも、塾の手助けを得て高認・大学受験をしています。それでは、高校を中退してしまったけれど、通信制高校にも塾にも通う余裕のない人は、いったいどうやって高認試験を目指せば良いのでしょう。
今日の朝日新聞朝刊によると、生活保護世帯の子どもの高校中退率は平均より高いそうです。経済的理由だけではありません。貧困世帯で生活に余裕がないと、子どもは家事などで時間を取られてしまい、勉強する意欲を持てなくなり、ついには中退に繋がることもあるといいます。
記事では中退防止策も取り上げられていますが、必要なのはすでに中退してしまった者への支援であると考えます。高校中退という道が選ばれたのは、止められなかったからではなく、「それしか選択肢がなかった」からと思われるからです。予防策をいくら講じたところで、「辞めざるを得ない」生徒は救われないままです。
現在、高校在学者への就学支援は様々にありますが、高校に籍のない、高卒認定試験の受験生に対する支援はほとんどありません。自治体の催す学習支援会などのサービスはあります。しかし、利用できる者は一部ですし、ボランティアの負担も大きく、適切な学習支援が維持できるのでしょうか。疑問が沸きます。家計所得に応じ、学習塾の月謝代を支援するなどの奨学金制度が必要です。学校に通えているひとは金銭的な支援を受けることができ、進学の意思はあっても通うことができない者にはその権利はない、というのは、あまりにも冷酷に思われます。
多様な進路選択が可能となった今、さまざまな境遇にある子どもたちへの支援も、同じく多様であるべきです。お金がないから学校に通えず、お金がないから勉強もあまりできないのに、学校に属さなければ支援金も手に入れられない。この矛盾した状況を改善すべきではありませんか。
参考:31日付 朝日新聞朝刊 一面 「子どもと貧困 高校中退 響いた生活苦」
三面 「子どもと貧困 中退防止へ 支援手探り」