「心理的虐待」は「見えない虐待」になってしまう

今日の朝刊、悲しい見出しが飛び込んできました。「虐待児0歳が6割超」。厚生労働省の発表で、2014年度に虐待を受けて死亡した18歳未満の子供の数は71人だったことがわかりました。この発表で注目すべき点は二つあります。それは、虐待を受けて死亡した子供の6割以上が0歳児だということ。そしてもう一つが、虐待の内容に「心理的な虐待」が初めて認定されたことです。

20147月、東京都西東京市のアパートで、中学2年の男子生徒(当時14)が養父(43)から「24時間以内に自殺しろ」と迫られ、翌日、自室で首をつって自殺しました。市などによると、中学の担任教諭は1311月と144月、生徒の顔にあざを確認し、養父の暴力を把握しました。しかし、生徒が「いつもではない」などと話したことから、学校側は虐待を疑わず、児童相談所などに相談しませんでした。同6月に生徒が不登校状態となった後、学校側は、電話で養父や実母と連絡を取るだけで家庭訪問せず、事件を迎えました。

このケースのように、外傷という形で虐待が見える形で存在しているにも関わらず、最悪の事態を免れなかったこともあります。外傷が存在しない心理的虐待ばかり受けている子どもは、どうすればいいのでしょうか。私たちのまわりにも、気付かないだけで心理的虐待を受けている子どもがいるかもしれません。

この事態に対応するには、まず「親の話を聞く」のではなく「子どもの話を聞く」ことから始めるように、システムや意識を変えていくことが大事だと思います。虐待が行われているとき、その様子を最も克明に記憶し、助けを求めているのは子どもたちです。今回の報告を受け、児童相談所や市、学校などの連携強化が図られるそうですが、その際にも、「子どもはどう感じているか」を第一に考えてもらいたいと思います。

参考記事:17日付讀賣新聞朝刊(東京13)1面「虐待児0歳が6割超」