日本が主導してアフリカ開発のあり方を話し合う首脳級会合「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」が20―22日、横浜市で開かれます。日本政府はアフリカ連合(AU)加盟国のうち軍事クーデターなどで加盟資格の停止を受けている国を除く49カ国に招待状を送り、40カ国以上が参加する見通しとなっています。
今回の会議で日本政府は、保健分野での包括的支援策を提示します。内容は①衛生、教育など保健政策の実施、②ヘルスケア産業の育成、③感染症流行など健康危機への対応力の強化の3分野で構成され、各国の課題に合わせて解決策を提案するとのことです。
アフリカは若年層が多く、2050年には世界の人口の4人に1人をアフリカ人が占めるとの試算もあるほどで、注目されています。21世紀を通して増加が見込まれるアフリカの人口と若さは、成長の原動力になると言われているのです。人口の増加や豊富な資源をどのように成長につなげていくか、日本の関わり方が問われています。
この10年で、在留資格を持ち、中長期にわたって日本に居住するアフリカ人は倍増しました。人手不足が深刻化している日本では、政府が外国人受け入れ政策を進めています。日本の外国人労働者数は24年10月末時点で過去最多の約230万人を記録しました。これは10年前と比較して約3倍の数字です。出身国はさまざまですが、筆者のアルバイト先や近所のコンビニにも外国人労働者の姿が見られます。日本国内での海外からやって来た労働力への需要の高まりを感じます。
国際協力機構(JICA)では、アフリカ域内で理工・農業系の高度人材の育成を支援しています。その一環として、日本とアフリカの大学連携を通じ、2028年までに15万人を育てることを宣言しています。さらに今回のTICAD9に合わせて「日本アフリカ拠点大学ネットワーク構想」を立ち上げ、アフリカ域内の大学を拠点に日本とアフリカの教育連携と人材交流を促す見込みです。
労働や保健などさまざまな分野で海外との協力は不可欠なものになり、ますます進んでいくと考えられます。今日から3日間開催されるTICAD9では、日本とアフリカ諸国の間にどのような進展が見られるのか、注目していきたいです。
参考記事
20日付 朝日新聞朝刊(大阪13版)6面 「TICAD9横浜できょうから 人手不足の日本 在留者は10年で倍増-『知ることが未来を変える一歩』」
20日付 読売新聞朝刊(大阪13版)2面(総合)「アフリカに保健支援 TICADきょう開幕」関連記事10面
参考資料
日本経済新聞電子版 「アフリカで競う資源供給網 TICAD開幕、日本はインド洋ルート開拓」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA192CB0Z10C25A8000000/
日本経済新聞電子版 「JICA、アフリカで理工・農学の高度人材育成へ 28年までに15万人」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA18AXA0Y5A810C2000000/