夏の風物詩「お中元」 どう変わる?

日頃の感謝の気持ちを伝えるために贈る「お中元」。若者のお中元離れ、企業の虚礼廃止が加速し、お中元市場が右肩下がりになるなかで、「お中元文化」は大きな転換期を迎えています。

三越日本橋本店のお中元売り場=日本経済新聞より引用

 

大学生の筆者は現在、とある百貨店のお中元ギフトセンターにてアルバイトをしています。これまで自身の周囲ではお中元を贈り合っている様子を目にしたことがなかったので、リアルな「お中元文化」を日々目の当たりにして非常に新鮮に感じています。お世話になっている相手が贈り物を受け取って喜ぶ姿を想像しながら、お中元カタログをめくってギフトを選ぶ。たしかに素敵な贈答文化であることには間違いありません。しかし、変化の求められる側面も大きいと筆者は考えます。

各家庭に届けられる何十ページにもわたるカタログ。贈答用の化粧箱に包装紙、そして中には個包装された食料品や飲料品。さらには膨大な数のギフトのトラック・バン輸送。これまで通り「お中元文化」を維持し続けることは、環境への負荷がかなり大きくなると予想できます。加えて、物流業界における人手不足が深刻化するなかで、特定の時期に配送が集中することで、そこで働く人々への負担が重くなるでしょう。

現在の百貨店では、顧客のニーズに沿った「お中元」戦略を打ち出そうと努めています。儀礼的な贈答品としてではなく、手軽な夏の贈り物としての「お中元」。身近な人へのギフトや自分へのご褒美品としての「お中元」。日本の贈答文化が多様化する現在、消費者である私たちにも持続可能なお中元の在り方を問い直す必要があるのではないのでしょうか。

 

参考記事:

6月12日付 百貨店のお中元商戦、自宅向け「ご褒美」が主流に コメ騒動の余波も:朝日新聞

6月4日付 百貨店で中元商戦、三越は家族・自分向け 東武は数量限定でコメ:日本経済新聞