昨日、大阪市港区にある海遊館に行ってきました。1時間半ほどかけて見て回った後に、海洋プラスチックごみに関するパネルが目に入りました。筆者はその中でもエシカル消費に興味を持ちました。
2025年6月20日 筆者撮影
エシカル消費とは、「環境や社会に配慮した製品やサービスを選んで消費すること」と紹介されています。フェアトレードや地産地消も含まれます。
いま、ZARA(ザラ)やSHEIN(シーイン)に代表されるようなファストファッションが大量に処分されていることが問題となっています。南米チリの砂漠に「洋服の砂漠」と呼ばれる場所があります。そこには各国のアパレルブランドの服が捨てられ、山のように積み上がっているのです。大量生産・大量消費社会が産んだ膨大な売れ残りや古着が、南米の砂漠に押し付けられています。
2022年時点で砂漠に捨てられた服は推計4万トンにものぼります。砂漠から車で約30分の場所にあるチリのイキケ港は、関税が免除される自由貿易港として有名です。古着の輸入を禁止する国がある一方で、チリは年間4万〜6万トンを受け入れています。その多くが価値のない、よれよれの服なのです。良質で再利用可能なものであれば古着として販売することができますが、砂漠に届くほとんどの服が処分するしかないものです。チリ以外でも、アフリカのガーナやインドで大量の洋服が放棄され、問題になっています。
ファストファッションは2000年代に台頭し、欧米の「トップショップ」「フォーエバー21」などが日本に上陸しました。おかげで最先端の流行を取り入れた服を誰でも手軽に楽しめるようになりました。しかし、その手軽さが服への愛着を失わせ、数回着ただけで捨てるようにもなってしまったのです。
近年若者の間で流行しているSHEIN(シーイン)は、頻繁に新製品を激安で投入していることから「ウルトラファストファッション」と呼ばれています。過剰消費をあおり、環境汚染を生み出しているとして同社に対する批判の声も高まっています。
さらに、SNSを日常に利用することも近年の消費問題に影響しています。SNSでは次々と新しい情報が発信されるため、流行のサイクルがどんどん短くなります。それに合わせて安い服を買い、流行が終わったものはその都度処分していく。この結果、世界中に大量の服が捨てられ、特定の国に山積されているのです。
筆者もファストファッションをよく利用します。シンプルなデザインのものが多く、普段着にちょうど良いからです。一方で、大学生になりアルバイトができるようになってからは、本当に気に入ったものであれば少々高額に感じられても買うことがあります。何度着ても飽きないので、きちんと手入れをし、これからも長く着ようと思っています。クローゼットの中が服で溢れかえるということもありません。
ファストファッションは、さほど懐を痛めずに流行を取り入れることができることから魅力的に映るかもしれません。しかし、手軽さで膨らんだ消費によって汚される環境があることも事実です。できる範囲で、環境や社会に配慮したエシカル消費を暮らしに取り入れませんか。
参考資料
朝日新聞デジタル 「『洋服の墓場』チリの砂漠に 関税免除の自由貿易港『イキケ』に年4万〜6万トン」https://digital.asahi.com/articles/DA3S16221323.html?iref=pc_ss_date_article
日本経済新聞電子版 「人はなぜ服を着るのか ファッションは時代の鏡」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD3120X0R31C24A2000000/