一段と日差しの強さが増し、夏の訪れを実感します。
昨日、登山が趣味の友人に「今年は富士山に挑戦するよ」と言われました。富士山では7月1日から山梨県側の吉田ルートが開山されます。
昨日から山梨県は5合目の登山口にゲートを設け、
1. 1日の登山者数の上限を4000人に
2. 1人2000円の通行料を徴収する
3. 午後4時から翌日ごぜん3時までの間、登山道を閉鎖する
など、オーバーツーリズムによる登山道の混雑緩和策を講じてきました。
今年からは「軽装登山」を防ぐために県職員の「富士山レンジャー」の権限を強化しました。危険と判断した登山者の入山を拒否できるようになります。
多くの登山客が見込まれると同時に、河口湖周辺も大変な混雑が予想されています。富士急バスは今年4月7日から、富士急行線河口湖駅と忍野八海を結ぶ観光客向けの直通バスの運行を開始しました。観光路線と、地元住民が利用する生活路線を分けることで混雑緩和を図る狙いです。
「富士山からパワーをもらいたい」との思いから筆者は今年3月、河口湖へ一人旅をしてきました。今回は特に印象的であった場所を2つ紹介したいと思います。
【忍野八海】
1つ目は忍野八海です。富士山の山麓からの伏流水を水源とした湧水群で、国の天然記念物であり、名水百選に選ばれました。また、2013年には「富士山―信仰の対象と芸術の源泉―」の構成資産として世界文化遺産にも登録されました。混雑を予想し、午前8時半に訪れましたが、既に多くの外国人観光客で賑わっていました。
▲水が透き通る忍野八海、湧池(3月26日 筆者撮影)
美しい池を楽しめる忍野八海ですが、観光公害に悩まされています。周辺には「お金投げ入れ罰金」などの看板が見られましたが、投げ入れる人は後を絶ちません。
▲お金の投げ入れを禁止する看板(3月26日 筆者撮影)
筆者が訪れた際も、コインを投げようとした観光客を他の観光客が制するという場面がありました。硬貨のさびが池の中に溶け出すことで水質汚染に繋がってしまいます。また、大量の硬貨の下敷きになって水草が激減している問題も発生しているそうです。環境と観光の共存が課題になっています。
【河口湖 音楽と森の美術館】
2つ目は「河口湖 音楽と森の美術館」です。世界最大規模のダンスオルガンやタイタニック号に乗せる予定であったオーケストリオンなど、歴史的な自動演奏楽器の生演奏コンサートが開催されています。私が訪れた3月26日には「TSUNAMI VIOLIN」の生演奏を聴くことが出来ました。東日本大震災の際に倒壊した家屋の柱や流木から作成された弦楽器です。すでにヴァイオリン4挺、ヴィオラ2挺、チェロ2挺が製作されており、「東日本大震災を風化させないこと」「音色の響く場所に人が集い、地域、家族の絆がより深まること」「演奏家の手から手へ受け渡されていく過程で、日本全体のつながりが強くなること」の願いが込められています。
▲TSUNAMI VIOLIN(3月26日 筆者撮影)
今春、初めて山梨県を訪れた筆者ですが、どっしりとたたずむ富士山に圧巻されました。この夏は富士登山や河口湖に足を運び、「夏の富士山」を満喫してみてはいかかでしょうか。
参考記事
2020年10月10日 日経電子版 「山梨の音楽と森の美術館 魅力は多彩な音色と欧風の街」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64762840Y0A001C2L83000/
2025年4月4日付 読売新聞 「観光客向け直通バス=山梨」
2025年6月16日付 朝日新聞 「富士山、開山前に準備着々 鉄骨の常設ゲート完成、軽装登山防止も/新潟」
参考サイト
Classic for Japan FOUNDATION https://classic-for-japan.or.jp/tsunami_violin/concept.php
FNNプライムオンライン https://www.fnn.jp/articles/-/733029?display=full
富士の国 やまなし 山梨をもっと好きになるWebマガジン https://www.yamanashi-kankou.jp/kankou/spot/p2_2837.html
NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240705/k10014502421000.html
山中湖観光協会 公式ホームページ https://lake-yamanakako.com/spot/10486