別荘地だけじゃない 観光地、定住先としての軽井沢

少しずつ気温が上がる今日この頃。夏の気配に心躍ると同時に、今年も猛暑が待っていると思うと身構えてしまいます。そんな夏の避暑地といえば、軽井沢を思い浮かべる人も少なくないかもしれません。筆者自身、軽井沢といえば避暑地ゆえに別荘地としてのイメージを強く抱いていました。

 

しかし、軽井沢に広がる風景は、別荘地のイメージに留まらない魅力溢れるものでした。

 

そもそもどうして別荘地として名を馳せたのでしょうか。きっかけは、明治時代にカナダ生まれの宣教師、アレキサンダー・クロフト・ショー氏が美しい自然と気候に魅せられ別荘を建てたことです。その後、内外の知名人に「保健と勉学の適地」として軽井沢を紹介したことで避暑地として広まりました。

 

実際、現在も多くの別荘が立ち並びます。町の人口は約2万人。夏には別荘地に訪れる人が多いため、実質的には5〜6万人になるとも言われています。見方を変えると多くの人が定住しているということです。

 

明確な区分は存在していませんが、別荘地が立ち並ぶエリアと定住エリアと言われる所があるようです。「別荘地は木々が茂っていて自然豊かだけど、定住する場所はまた雰囲気が違う。木が多いと冬に光を遮って生活するのに不便だからね」と地元の方がその違いを教えてくれました。

 

別荘地に生い茂る木々(2025年5月19日筆者撮影)

 

また、観光客向けの施設も充実しています。食べ歩きに最適なお店が立ち並ぶ旧軽井沢銀座商店街、自然豊かな空間でショッピングを楽しめるプリンセスショッピングプラザなど盛りだくさんです。

 

旧軽井沢銀座商店街(2025年5月19日筆者撮影)

 

自転車をレンタルするお店が多く、手頃な価格でサイクリングを楽しむことも出来ました。心地よい風のなか楽しむサイクリングは格別。時間に縛られない自転車は、観光の移動手段としても最適でした。

 

さいごに軽井沢を散策して気がついたことがあります。それは、景観が統一されているということ。コンビニや飲食店の看板が通常のカラーとは違っていました。標高2500メートルを超える美しい浅間山が望める軽井沢町では、信州の景観を守るため、厳守すべき「軽井沢町景観育成基準ガイド」が定められています。

 

また、別荘地の案内板も通常のものとは異なり、表示方法が統一されています。町のたたずまいを守るため仕様が決められているようです。

 

別荘地として、定住先として、観光地として。軽井沢はいくつもの顔を持っています。そして、多くの人を魅了する避暑地では、その美しい景観を守るためにたくさんの工夫がなされていました。これからの夏、みなさんも訪れてみてはいかがでしょうか。

 

 

参考記事:

2024年09月18日付 朝日新聞朝刊「基準地価、3年連続上昇 都市・地方部ともに上昇基調」

2025年5月20日付 日経速報ニュース「星野リゾート・星野代表「山のホテルを改革、日本の自然観光強く」-Leader’s Voice」

 

参考資料:

一般社団法人 軽井沢観光協会「軽井沢を知る」

「夏休みに人口が”倍増”する軽井沢。地元の人×移住者×別荘オーナーが交わる町。「壁はあってもいい」」

軽井沢町「別荘看板(案内表示板)を配布しています」

長野県「「軽井沢町景観育成基準ガイドライン」について」