「オーバーツーリズムと言えば?」と聞かれると、多くの人が京都を挙げるのではないでしょうか。実際、京都で学生生活を送る筆者も、市バスが満員で乗車できず、何本も見送ることになったり、遅延で予定していた時間に間に合わなかったりすることが多々あります。
そこで今回、京都の市バスの現状と課題について調べることにしました。
京都市交通局は18日、GWにおける市バスの混雑対策として昨年6月から導入された「観光特急バス」の運行や、市バス・地下鉄の臨時増発を行うことを発表しました。対象期間は4月26日~5月6日(重点期間は5月3日~5月6日)です。京都市バスは一律大人230円、小児120円ですが、観光特急バスの運賃はその倍に当たる大人500円、小児250円となります。
当初は1日当たり2200人程度の利用でしたが、ピークの11月には3000人、最も多い日では4000人の利用があったことから、交通局は並行する系統バスへの混雑緩和に寄与していると結論付けました。観光特急バスの利用が促進されることで、市民利用と観光利用の棲み分けが進むと期待されています。
一方で課題も残ります。
今年からGW期間の運行が決定しましたが、現時点で観光特急バスの運行日は、土日と休日、お盆、年末年始に限られ、平日は走っていません。
京都は「学生の街」とも呼ばれ、2024年5月1日時点で、通学者を含む学生の数が14万人を超えており、これから更なる学生の増加が見込まれています。
私の通う立命館大学でも多くの学生が通学に市バスを利用しています。平日には、主要なバス停から大学まで快速バスも運行していますが、実際に利用する友達からは「快速バスも観光客で溢れて乗れない」との声が上がっていました。
原因の一つとして考えられるのは、観光地と大学がほとんど同じ路線上にあるということです。立命館大学衣笠キャンパスは、金閣寺から徒歩15分の至近距離にあります。そのため、混雑した市バスを敬遠し、快速バスで金閣寺に向かう観光客も多いのです。
衣笠キャンパス付近には地下鉄の駅がないため、遠方から通学する学生は市バスを利用するほかありません。観光特急バスの平日運行が決まれば学生にとってもスムーズな移動がかなうと思われますが、今年2月、交通局は、運転手不足による非常事態宣言を出しました。深刻な人手不足で簡単に増便できない現状があります。
観光客も市民も気持ちよく市バスを利用するためにはどうしたら良いのでしょうか。訪日観光客の増加が今後も予想され、オーバーツーリズムは京都に限った問題ではなくなっています。まずは身近の現状に目を向け、解決策を考えなければなりません。
参考記事
2024年12月16日 日経電子版「京都市の学生は14万人 人口の1割、古都に学びの伝統 数字博物誌」
参考文献
京都市交通局サイト