忘れてはいけない夏

学期末試験も終わり、散らかった部屋を片付けていると中学1年生の夏の自由研究が見つかりました。作品名は「長崎の名所」です。家族旅行で日本二十六聖人殉教地やグラバー園など様々な名所を訪れました。

原爆のことを知らず、観光名所のひとつとして平和公園にも行きました。平和祈念像の右手が指す大空を見あげ、その像の大きさに驚き、平和の泉では涼み、夏の暑さを癒しました。何も知らなければ、広々とした楽しい空間です。しかし、その一角にはこんな文字が刻まれた石碑がありました。

「のどが渇いてたまりませんでした 水にはあぶらのようなものが 一面にういていました どうしても水がほしくて とうとうあぶらの浮いたまま飲みました -ある日のある少女の手記から」

それを見た13歳の筆者は「争いは関係の無い人まで巻きこんでしまうんだなと思いました。」と綴っていました。戦争や原爆が悲惨であることは誰がみても明白なものなのです。

本日8月9日は71回目の原爆の日です。長崎市の平和公園では平和祈念式典が開かれます。原爆が投下された午前11時2分、参列者は黙祷を捧げます。昨夜はキャンドル約4500本に明かりが灯され原爆の犠牲者を悼み、平和を祈りました。長崎や広島という原爆が投下された地域の人々でなくても、今が平和であることに感謝しなければなりません。

それと同時に戦争を経験していない世代、そして、戦争を知らない世代にその悲惨さを語り継ぎ、同じ過ちを繰り返さないことが残された人々の永遠の宿題なのかもしれません。

 

参考記事

9日付 読売新聞 12版 17面 『光と爆風 残った黒い骨』

同日付 朝日新聞 13版 37面 『平和願う 4500灯』

同日付 日本経済新聞社 13版 39面 『きょう原爆の日』