3か月前の4月16日、何をしていたか覚えていますか。カレンダーを見て、ようやく思い出しました。春休みが明けて最初の土曜日。いつも通り、アルバイトをする、何の変哲もない一日を送っていました。
5年前の3月11日に発生した東日本大震災はどうでしょうか。鮮明に覚えています。中学校3年生、卒業式を目前に友人と過ごしていました。なぜ、こんなにも記憶に差があるのでしょうか。首都圏にも被害があったからでしょうか。原発事故が起きたからでしょうか。いままでに見たことのない津波が襲ってきたからでしょうか。
理由はどうであれ、筆者の中では熊本地震の記憶が薄れてしまっています。しかし、熊本では、本震から3か月が経った今も前に進むことができない方がいます。
昨日16日、南阿蘇村の倒壊したアパートに東海大学の学生3名が訪れ、地震で亡くなった学生の献花台に手を合わせました。朝日新聞にはその様子の写真が掲載されています。驚くのは倒壊したアパートが当時の状態のままであることです。復興が進んでいないことが目に見えて分かります。
阿蘇大橋の土砂崩れに巻き込まれたとみられる大学生の安否も不明のままになっています。6月1日には県警や消防が約120人態勢で地上での捜索を再開しました。家族の「今日ですべて終わって……」という祈りも届かず、手がかりは見つかりませんでした。その後も家族らは自ら土砂崩れの現場である阿蘇大橋に行き、捜索を続けています。
被災者の一人は「ここだけが4月16日から時が止っている。災害への悔しさを改めて感じている」と話しています。一日でも早い復興を祈ると同時に、東日本大震災と同じく、この地震が残した数々の教訓を決して忘れてはいけないと自戒じています。
参考記事
17日付 朝日新聞 13版 34面 『3ヵ月 犠牲者悼む』