災害に備え、ペットとの同行避難を考える

能登半島地震から3か月半。16日、被災などで飼えなくなった犬や猫を受け入れ、希望者に譲渡する「いしかわ動物愛護センター」が石川県津幡町で開業しました。新設に際して、譲渡を希望する人が実際に動物と触れ合い、相性を確認できる「マッチング室」も備えられました。家が潰れて外に逃げ出したり、飼い主が被災し仮設住宅に移ったことで飼えなくなったりしたペットが、この施設で保護されています。

ペットの避難については、東日本大震災や熊本地震でも大きな課題となり、社会に広く知られることになりました。しかし、未だに十分な対策は取られておらず、ペットと一緒の避難は難しい状況です。朝日新聞によると、県防災対策室は23年、ペット同行避難の取り組みについて19市町で調査しました。「避難所は同行避難できるか」との質問に対し「可能」が約6割の510カ所ある一方、344カ所は「検討できていない」でした。また、ペットの避難に関して「マニュアルを作成しているか」では722カ所のうち、「作成している」は57カ所。「訓練を実施している」と回答したのは、854カ所のうち3カ所しかありませんでした。

筆者が春休みに参加した議員インターンシップで、災害対策についての答弁調整の場に同席しました。答弁調整とは、議員が市役所の担当課に提出した質問に対する回答内容や説明を聞き、必要に応じて修正・調整を行う作業です。雑談の中で犬や猫との避難に関する話題になり、そこで初めて体育館などの避難所にペットと同行することは想定されていないことを知りました。多くの人が集まる避難所ではアレルギーを持っている方や動物が苦手な人、鳴き声でストレスを感じる人など、特別な配慮が求められるケースが少なくないからです。そのため、ペット同伴可能の避難所は非常に限られています。家にいられるのなら避難所に行かずペットと住み続ける、もしくは車中泊をするといった、飼い主側での対策が必要となると議員は話していました。

確かに環境省のガイドラインを見てみると、避難所でペットが受け入れられた場合は、

  • 室内で同居
  • 飼養者と非飼養者に分かれて室内同居
  • 室内別居(ペットは飼養部屋へ)
  • 敷地内で屋外飼養

避難所でペットが受け入れられない場合は、

  • ペットを自宅に残す
  • 車・テントを活用して生活
  • 知人や施設に預ける
  • ペット受け入れ可の施設を探す

などといった選択肢が示されています。

そのほかにできる対策として、日頃からケージなどに入ることを嫌がらないよう慣れさせておくことや、首輪や迷子札、マイクロチップなどにより飼い主が分かるようにすることが挙げられています。

筆者の実家では保護猫を飼っていますが、大災害に備えた準備は不十分です。恥ずかしながらこの記事を書くにあたって、はじめてペットと同行避難を行う際のガイドラインを知りました。飼い主が責任を持ってペットの災害対策をしなければならない現状を考えると、大きな危機感を覚えます。

人とペットがどちらも安心して過ごせる避難所づくりが求められますが、行政任せではなく飼い主としても、できることを模索していきたいです。

参考記事:

15日付 朝日新聞 夕刊 (大阪4版) 9面 (社会)「被災ペット保護・譲渡へ 動物愛護センター開所 石川」

3月11日付 朝日新聞 朝刊 (滋賀13版) 19面「(東日本大震災13年)ペットと避難、態勢整えて 国・県が指針、訓練組み入れ」

朝日新聞デジタル「震災で行方不明のペットを保護 原動力は、熊本地震で救った1匹の犬」

参考資料:

環境省「災害、あなたとペットは大丈夫?人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編> 」