先日、辻村深月による本屋大賞受賞作「かがみの孤城」を原作にアニメ化された作品をテレビで見ました。
作品は、鏡の中の孤城に突然集められた7人の中学生が案内人のオオカミ仮面の少女に導かれ、城に隠された鍵を探しながら、それぞれが抱く人には言えない悩みに向き合っていく、というお話です。
作中で印象に残ったのは、同級生からのいじめをきっかけに学校にいけなくなってしまった主人公に対し、クラスの担当教師がいじめ当事者の少女の言葉を鵜呑みにして、そのまま主人公に伝えたシーンです。その後、主人公はその言葉に酷く傷付き、さらに学校にいけなくなってしまいます。
教師が片方の意見だけを先に聞き、その言葉を信じ込むという不適切極まりないシーンでした。
一方で教員の立場で考えると、授業準備や部活、保護者への資料づくりなどを全て一人でこなすような追い詰められた状態で、更なる問題が自分のクラスで生じてしまったことになります。周囲からの圧力は大きく、一刻も早く解決しなければならないだけに、焦りは尋常ではなかったのではないか、と個人的に考えさせられるシーンでした。
10日付の読売新聞の朝刊では「小中授業 5分短縮 学校の裁量時間拡大」という記事が掲載されていました。短縮分の時間の使い方は学校の裁量に任せます。実情に合わせた現場の創意工夫を促す狙いがあるそうです。
2023年3月に発表された全教「教職員勤務実態調査 2022」によると、4週間の時間外勤務の平均が小学校の教員で93時間48分、中学校では113時間44分にのぼると言います。労働基準法で定められた月の時間外労働時間は月45時間、年360時間です。
学校の実情に合わせられる時間をつくるというアイデアは、児童や生徒にとって非常に良い取り組みだと感じる一方で、教師のさらなる負担にならないかという不安があります。
教育実習に参加した友人は、終了直後「生徒の進捗に合わせて毎日授業内容を考えなければいけなかったから、睡眠時間4時間取れれば良い方だった。だけど、先生達はもっと寝てないと思う」と話していました。
学習体制を整えていくことも大切にしながら、教師の方々の労働環境にも配慮してほしいと考えます。
参考記事:
10日付読売新聞朝刊(東京14版)1面「小中学校 5分短縮 学校の裁量時間拡大 文科省検討」
参考資料:
全日本教職員組合「教職員勤務実態調査 2022」最終集計 2023年3月15日
最終閲覧日:2024年2月10日